C-反応性蛋白とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 化学 > 化学物質 > 蛋白 > C-反応性蛋白の意味・解説 

シーはんのうせい‐たんぱく〔‐ハンオウセイ‐〕【C反応性×蛋白】

読み方:しーはんのうせいたんぱく

シー‐アール‐ピーCRP


C反応性蛋白

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/09 07:48 UTC 版)

C反応性蛋白
EC番号 ?
テンプレートを表示

C反応性蛋白(シーはんのうせいたんぱく、: C-reactive proteinCRPと略称される)は、環状の5量体タンパク質であり、体内で炎症反応や組織の破壊が起きているときに血中に現れる。急性期反応タンパクの一つ。肺炎球菌のC多糖体と結合するためこの名がある。CRPはマクロファージとT細胞からのIL-6の分泌により、肝臓[1]と脂肪細胞[2]から分泌される。CRPは、死細胞や細菌表面のリゾフォスファチジルコリンに結合し、C1qを介して補体の古典的経路を活性化し、細菌の溶菌・凝集に関与する。

診断的意義

CRPの産生量は炎症反応の強さに相関するため、血清中のCRPを定量して炎症反応の指標とすることができる。すなわち炎症が強いほど血清CRP値は高くなる。日本においては血液検査においてごく一般的に計測される。細菌感染では上昇しやすく、ウイルス感染ではアデノウイルスなど一部のウイルス以外ではインフルエンザウイルスのように強い発熱を発症するものでも上昇は軽微である。つまり、通常の感冒では上昇しないことが多い。

同様の疾患で同程度の重症度の場合でも、CRPの上昇の程度には大きな個人差がある。そのため、CRPを標準値や他の患者の値と比較することはあまり有意義ではなく、一人の患者の経過を観察するために有用な指標といえる。

また、細菌性感染の炎症開始から6時間程度は上昇せず、反応が遅いので、炎症早期の指標としては白血球左方移動、白血球数増加の方が有用である。日本以外では炎症の指標として一般的に用いられることはなく、英語論文における炎症や感染症の指標はもっぱら白血球に依存しているが、最近では心疾患で測定されることがある。

基準値

  • 正常範囲 0.3 mg/dL 以下
  • 軽い炎症などが検討される範囲 0.4〜0.9
  • 中程度の炎症などが検討される範囲 1.0〜2.0
  • 中程度以上の炎症などが検討される範囲 2.0〜15.0
  • 重体な疾患の発症の可能性が検討される範囲 15.0〜20.0

高値を示す疾患

炎症反応の指標としては他に、赤血球沈降速度なども用いられる。

高感度CRP

従来のCRP測定法には免疫比濁法(: turbidimetric immunoassay; TIA)が用いられており、検出感度は0.1 mg/dL 程度であったが、ラテックス凝集法(: latex agglutination assay)では検出感度が上昇し 0.01 mg/dL 単位で測定可能となり、高感度CRP(hrCRP)と呼ばれている[3]

高感度CRPにて測定できる微量なCRPは心血管疾患のリスク評価におけるLDL-Cパラドックスと関連し、急性心筋梗塞発症と血中LDL-C濃度とのU字状相関は hrCRP≥0.3 mg/dL の症例群で見られるが、hrCRP<0.3 mg/dL 症例群では見られず単調増加する[4]

研究

  • ビタミンC投与でCRP値が低下するとの報告がある[5][6]
  • マグネシウムの摂取量とCRP値には逆相関の関係があるとの調査研究がある[7]

脚注

  1. ^ Pepys, Mark B.; Hirschfield, Gideon M. (2003-06). “C-reactive protein: a critical update”. The Journal of Clinical Investigation 111 (12): 1805–1812. doi:10.1172/JCI18921. ISSN 0021-9738. PMC 161431. PMID 12813013. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12813013. 
  2. ^ Lau, David C. W.; Dhillon, Bikramjit; Yan, Hongyun; Szmitko, Paul E.; Verma, Subodh (2005-05). “Adipokines: molecular links between obesity and atheroslcerosis”. American Journal of Physiology. Heart and Circulatory Physiology 288 (5): H2031–2041. doi:10.1152/ajpheart.01058.2004. ISSN 0363-6135. PMID 15653761. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15653761. 
  3. ^ シー・アール・シー|CRPと高感度CRPの違いを教えてください。”. www.crc-group.co.jp. 2025年1月9日閲覧。
  4. ^ Zeng, Guyu; Zhang, Ce; Song, Ying; Zhang, Zheng; Xu, Jingjing; Liu, Zhenyu; Tang, Xiaofang; Wang, Xiaozeng et al. (2024-12-23). “The potential impact of inflammation on the lipid paradox in patients with acute myocardial infarction: a multicenter study” (英語). BMC Medicine 22 (1). doi:10.1186/s12916-024-03823-z. ISSN 1741-7015. PMC PMC11664818. PMID 39710711. https://bmcmedicine.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12916-024-03823-z. 
  5. ^ Gladys Block (2008). “Vitamin C treatment reduces elevated C-reactive protein”. Free radical biology & medicine (Elsevier Science) 46 (1): 70–77. doi:10.1016/j.freeradbiomed.2008.09.030. PMC 2631578. PMID 18952164. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2631578/. 
  6. ^ Vajihe Biniaz (2013). “Effect of Vitamin C Supplementation on C-reactive Protein Levels in Patients Undergoing Hemodialysis: A Randomized, Double Blind, Placebo-Controlled Study”. Nephro-urology monthly (Tehran, Iran: Kowsar Medical Institute) 6 (1): e13351. doi:10.5812/numonthly.13351. PMC 3968960. PMID 24719806. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3968960/. 
  7. ^ Daniel T. Dibaba (2014). “Dietary Magnesium Intake is Inversely Associated with Serum C-reactive Protein Levels: Meta-analysis and Systematic Review”. European journal of clinical nutrition (Nature Publishing Group) 68 (4): 510–516. doi:10.1038/ejcn.2014.7. PMC 3975661. PMID 24518747. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3975661/. 

外部リンク




C-反応性蛋白と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「C-反応性蛋白」の関連用語

C-反応性蛋白のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



C-反応性蛋白のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのC反応性蛋白 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS