ベラボット
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/10 16:17 UTC 版)

ベラボット (BellaBot、西洋ではKerfuś と呼ばれる)は、中国企業であるプードゥ・ロボティクスによって開発された配膳ロボットである。日本ではすかいらーくなどの飲食店で商用ロボットとして稼働している[1]。西洋ではカルフールとペプシコのコラボレーションによる広告キャンペーンとして、ポーランドのワルシャワの店舗に導入され、それ以来このマスコットはバイラル現象となり、インターネットミームとして広まった。
概要
飲食店において、出来上がった料理を客席まで運ぶロボット。メーカーのCEOはロボットには2つの価値があるとしており、1つはツールとしての価値でありちゃんと届け動くことであり、もう1つとして文化的な受け入れやすさを重視して客やスタッフとコミュニケーションができるかとしており、このようなデザインにした。新バージョンも現行バージョンの見た目を保つ予定で、今後開発する製品も動物に似たデザインにすることを検討すると語る[2]。
2021年8月にすかいらーくで実証実験を開始してからグループの各店舗に急激に導入されていき、2022年12月時点で日本全国のグループ約2,100店舗で約3,000台が導入、配膳専用として使用されている。ベラボットのトレイに食事を載せてテーブル番号を押すと、指定したテーブル近くまで運んで行き、注文した客が受け取る。センサーでトレイに置かれていないことを検知すると自動的に戻るようになっている。このようなベラボットを導入する決め手となったのは顧客満足度と従業員の働きやすさであった。他社の配膳ロボットも検討したがベラボットを導入したきっかけは、走行の安定性であった[3]。
2022年3月より千葉県富津市に所在する「漁師料理かなや」という飲食店では8台のベラボットの使用が始まり、2023年3月時点では国内の店舗では最大の10台のベラボットが使用されている。この店は座席数が450席とかなり多く、平日の昼間でもかなり混雑している。客足は好調であったものの立地の影響から求人を出しても応募が来ず、従業員の労働負荷が高い状況が続いていたことからベラボットの導入が決められた。ベラボットを導入してから人による配膳が5割から7割ほど削減でき、少ない人数で店舗の運営ができるようになった。この店には20人ほどのスタッフがいたがどんどん辞めていき、サービスが低下していたという時期があった。それがベラボットを導入してからスタッフは10人もいないが店舗運営をできるようになっている[4]。
2022年9月よりポーランドのワルシャワにあるショッピングセンター「ガレリア・ヴィレンスカ」と「ウェストフィールド・アルカディア」の2店舗で、マーケティングキャンペーンの一環としてカルフールによって導入。このキャンペーンはカルフールとペプシコのコラボレーションによるもので、ソーダ飲料やポテトチップスなどのペプシコ製品を顧客に配布[5]、2022年末まで配備された。このコラボレーションが延長されるかどうかは不明だが、カルフールの代表者は、同社が店舗での配備を継続することに興味を持っていると述べた。
ベラボットの人気が非常に高かったため、カルフールはポーランド全土のツアーを企画し、ベウハトゥフ、グダニスク、ゴジュフ・ヴィエルコポルスキ、ピワ、イノヴロツワフ、カリシュ[6][7]、 ウッチ、オルシュティン、ポズナン、プワヴィ、タルヌフ、トルン、ヴロツワフといった様々な都市の店舗に配備した[8][9][10]。同社はベラボットを使用した限定衣料シリーズもリリースした[10]。
2022年12月、映画『キャット・ダディーズ』のプロモーションの一環として、ベラボットを映画のブランドアンバサダーとチャリティ活動に起用し、店舗で動物愛護のための食品などの寄付を集めた。このプロモーションは、グダニスク、イノヴロツワフ、オストロヴィエツ・シフィエントクシスキ、プワヴィ、トルン、ワルシャワ、ヴロツワフの8店舗で行われた[11]。
ベラボットは絶大な人気を博し、インターネット上でバイラル現象となり、様々なミームやポルノ画像に登場した[12]。
商品化
- ブロックトイ - 2023年7月12日にはイケア・ジャパンよりベラボットをモチーフにしたブロックトイが発売。価格は1700円ですかいらーくグループの各店舗で発売される。仕様はブロックの数が全117個の組み立て式のおもちゃ。完成品の高さは約14cmで、底面にタイヤが付いており転がして遊ぶこともできる[13]。
- カプセルトイ
- 2023年12月7日にはベラボットがカプセルトイ化して販売される。すかいらーくグループの各店舗の自動販売機で200円かキッズメニューに付いているガチャコインで購入できた。仕様はベラボットを5.5cmのミニサイズで再現したというもの。ガスト、バーミヤン、しゃぶ葉、ジョナサン、夢庵、ステーキガストの6つが用意されており、それぞれのデザインが異なる。ベラボットがスタンプになったものもカプセルトイ化されており、これも200円かガチャコインで購入できた[14]。
- 2024年11月、ウルトラニュープランニングより「ゼンマイで動く!Bellabot」が展開[15]。2025年4月にvol.2も販売された[16]。
- 公式ファンブック - 2024年1月15日には宝島社よりベラボットの公式ファンブックが発売される。付録にはベラボットを再現できる約29cmのペーパークラフトがある。ファンブックには漫画や最新のロボットの紹介などが掲載されている[17]。
- マスコット - 2024年4月にはバンダイナムコヌイから発売されているシリーズの「ぷりぬいマスコット」からベラボットをマスコットにした製品が発売される。本体にはぬいぐるみの生地を使用しており、ベラボットのフォルムを損なわないようにマスコットらしい形状で表現している[18]。
- プラスチックモデル - 2024年12月にコトブキヤより発売[19]、2025年7月には完成品の発売を予定[20]。
脚注
- ^ “しゃぶ葉やガストが導入する「配膳ロボ」の実力は? 最先端、中国のロボット事情”. ITmedia (2022年2月23日). 2025年5月13日閲覧。
- ^ “あの「ネコ型配膳ロボ」はなぜ猫モチーフになった? CEOに直接聞いてみた”. ITmedia NEWS. 2024年5月29日閲覧。
- ^ 株式会社インプレス (2023年5月24日). “ガストの「猫ロボット」成功のワケ わずか1年半で3000店導入”. Impress Watch. 2024年5月29日閲覧。
- ^ “「行ってくるニャー」--ネコ型配膳ロボットが10台行き交う千葉の漁師料理店、導入前後の変化とは”. CNET Japan (2023年3月16日). 2024年5月29日閲覧。
- ^ “Kerfuś nie zniknie ze sklepów Carrefour? Sieć wyjaśnia” (ポーランド語). www.portalspozywczy.pl (2022年10月21日). 2025年5月30日閲覧。
- ^ “Kerfuś - gwiazda memów będzie w Krośnie” (ポーランド語). Krosno112.pl (2023年1月12日). 2025年5月30日閲覧。
- ^ “Czy roboty zajmą miejsce ludzi? Oto próbka przyszłości z Krosna”. Krosno24 (2023年1月13日). 2025年5月30日閲覧。
- ^ “Kerfuś rusza w Polskę. Jakie miasta odwiedzi?” (ポーランド語). www.dlahandlu.pl (2022年11月24日). 2025年5月30日閲覧。
- ^ “After Debut In Warsaw, Kerfuś eRobot Visits Other Polish Cities” (英語). ESM Magazine. 2025年5月30日閲覧。
- ^ a b “Nowy hit na rynku ubrań! Kerfuś wypuszcza własną limitowaną kolekcję odzieży | infoWire.pl” (ポーランド語). www.infowire.pl (2022年12月15日). 2025年5月30日閲覧。
- ^ “Kerfuś powraca. Robot Carrefoura został ambasadorem filmu” (ポーランド語). www.portalspozywczy.pl (2022年12月13日). 2025年5月30日閲覧。
- ^ “Kerfuś królem Polski i zbawcą świata. Robot z supermarketu stał się fenomenem” (ポーランド語). Noizz 2025年5月30日閲覧。
- ^ “ネコ型配膳ロボ、ブロックトイになって発売 ガストやジョナサンで先行販売”. ITmedia NEWS. 2024年5月29日閲覧。
- ^ “あの「ネコ型配膳ロボ」がカプセルトイに 「ガスト」「しゃぶ葉」など6バージョン”. ITmedia NEWS. 2024年5月29日閲覧。
- ^ 「ゼンマイで動く!Bellabot」ウルトラニュープランニング株式会社。2025年5月25日閲覧。
- ^ 「Bellabot ゼンマイで動く!BellaBot vol.2」ウルトラニュープランニング株式会社。2025年5月25日閲覧。
- ^ “ネコ型配膳ロボ“ベラボット”の公式ファンブックが4/15発売。付録のペーパークラフトであのロボを再現。サイズは割と大きい | ゲーム・エンタメ最新情報のファミ通.com”. ファミ通.com (2024年4月14日). 2024年5月29日閲覧。
- ^ “ネコ型配膳ロボット「BellaBot」が手のひらサイズのふわふわ手触りマスコットになって登場 予約受付開始 バンダイナムコヌイ - ロボスタ”. robotstart.info (2023年12月26日). 2024年5月29日閲覧。
- ^ “ベラボット”. KOTOBUKIYA. 2025年5月11日閲覧。
- ^ “ネコ型配膳ロボット・ベラボットのプラモデルに、パーツが一部塗装された“組み立て済み”バージョンが登場!箱から取り出しておぼんのパーツをセットするだけで完成!”. 電撃ホビーウェブ (2025年2月4日). 2025年5月11日閲覧。
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