83億円の「代償」と51億円の「債務」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 16:00 UTC 版)
「帝京大学医学部裏口入学事件」の記事における「83億円の「代償」と51億円の「債務」」の解説
帝京学園は高校野球やサッカーの強豪校として知られる帝京高校を含む学園で、帝京大学とは別法人である。1992年までは元総長の実弟が理事長であった。 時を経て2019年11月に、この帝京学園が巨額の債務を負っているという記事が発表された。しかも本来は帝京大学が負うべき出資を、帝京学園が債務として押し付けられているというものだった。 その記事によると、かつて「帝京大学による土地の“召し上げ”」が帝京学園に対して行われ、それが帝京学園の債務に変わったのだという。この債務の原因は次のように書かれている。 「帝京中・高のあった場所に、帝京大学が本部棟と医学部棟を新設する計画が始まった。玉突きで帝京中・高は同じ板橋区内の別の場所に引っ越しせざるを得なくなったのだが、新校舎の建設費用等105億円を帝京学園が負担。自己資金の他、帝京大学から37億円、私学事業団から14億円を借り入れて賄った」 つまり帝京大学が新しい本部棟などを建てる予定の土地に帝京学園の中高があったので、それを別の土地に移転させたのだが、その際の帝京中高の移転費用や新しい土地確保、新校舎建設費用は帝京大学が補償したのではなく、帝京学園に支払わせたということである。その結果、帝京学園は出費超過で51億円もの債務を抱え込むことになったが、それは本来帝京大学が行うべき出資だという主張である。これを主張したのは2019年時点の帝京学園の理事長であり、帝京大学から裏口入学事件の「責任」のかどで尻尾切りをされた元総長の長男冲永荘八氏だった。 ここで奇妙にも符合するのが、裏口入学事件に関する帝京大学の「調査報告書」が、帝京大学には「83億円」の「代償」がこの事件によって生じたと記したのが2002年7月15日、そして本来帝京大学が支払うべきだったという帝京中高の移転費用105億円を帝京学園に負担させ、51億円の債務を学園側に作らせたのも2001年から2003年だったことである。「代償」と「債務」は、ちょうど重なる時期に作られたことになる。 実際、帝京学園の中高の新校舎が、現在置かれている板橋区稲荷台で完成したのは2004年だった。つまりこの新校舎の工事は、2001-2002年に騒がれた裏口入学事件と、その「代償」が帝京大学に生じた当時および直後に行われた建設事業であったのである。
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