5価ヒ素の毒性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/22 07:18 UTC 版)
類似した構造と性質のために、5価ヒ素代謝物は多くの代謝経路でリン酸基と置き換わる。リン酸のヒ酸による置換は、in vitro ではグルコースまたはグルコン酸とヒ酸との反応によって開始される。この反応によって生成されるグルコース-6-ヒ酸と6-アルセノグルコン酸は、それぞれグルコース-6-リン酸と6-ホスホグルコン酸のアナログとして働く。解糖系において、グルコース-6-ヒ酸はグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼに基質として結合するとともに、ネガティブフィードバックによってヘキソキナーゼを阻害する。解糖系におけるリン酸の重要性とは異なり、ヒ酸はD-グリセルアルデヒド-3-リン酸との反応によって、不安定な無水物を生成しATPの産生を制限する。As-O 結合は P-O 結合よりも結合距離が長いため、生成された無水物 1-arsenato-3-phospho-D-glycerate は容易に加水分解される。ミトコンドリアでは、酸化的リン酸化の過程において、コハク酸存在下でヒ酸はADPと結合し、ATPの合成を脱共役する。一方、3価ヒ素代謝物は、赤血球におけるATPの産生にあまり影響しない。
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