黒色矮星ができるまで
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/12 17:12 UTC 版)
太陽質量の8倍以下の恒星は、何段階かの変遷を経て白色矮星に至ると考えられている。白色矮星は放射によって冷却し、次第に温度は低下して放射量も減少してゆく。そのため低温な白色矮星ほど年老いた天体である。2012年にはアリゾナ州のMDM天文台(英語版)の 2.4 m 望遠鏡を用いて、表面温度が 3900 K (スペクトル分類での M0 の温度に相当する) を下回るほどに冷却した様々な白色矮星が発見された。これらの白色矮星の年齢は110億から120億歳だと推定されている。 天体の遠い将来の進化は、ダークマターの性質や陽子崩壊の可能性とその割合など、あまり理解が進んでいない分野の物理的な問題に依存するため、白色矮星が黒色矮星の状態になるために、一体どれほどの時間が必要かは詳しくは分かっていない。ジョン・D・バロウとフランク・ティプラーは、白色矮星が 5 K にまで冷えるのには約 1015 年が必要だと推定している。しかし、もしWIMP (冷たい暗黒物質の候補である仮説上の重い粒子) が存在した場合には、これらの粒子との相互作用によって天体が温められ、5 K を下回るには約 1025 年の時間を要すると考えられている。また、もし陽子が安定な粒子ではない場合には、白色矮星が陽子崩壊によって解放されるエネルギーによっても温められ得る。Fred C. Adams と Gregory Laughlin による推定では、仮説上の陽子の寿命を 1037 年とすると、太陽と同じ質量の年老いた白色矮星の有効温度はおよそ 0.06 K とされている。これは低温ではあるが、1037 年後の宇宙マイクロ波背景放射の温度よりも高いと考えられる。
※この「黒色矮星ができるまで」の解説は、「黒色矮星」の解説の一部です。
「黒色矮星ができるまで」を含む「黒色矮星」の記事については、「黒色矮星」の概要を参照ください。
- 黒色矮星ができるまでのページへのリンク