鳴梁海戦とは? わかりやすく解説

鳴梁海戦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/08 08:08 UTC 版)

鳴梁海戦(めいりょうかいせん)は、鳴梁渡海戦ともいい、豊臣秀吉慶長の役により慶長二年(1597年9月16日和暦/以下同)に陸に呼応して西進した日本水軍と朝鮮水軍との間に起こった海戦。李舜臣の指揮する朝鮮水軍が日本水軍の先鋒の来島勢に大きな損害を与えた。しかし残存兵力の少ない朝鮮水軍は兵力温存を図り、唐笥島、於外島、七山島、法聖浦、蝟島を経由し北方の古群山島付近まで後退した。朝鮮水軍の撤退後、日本水軍は六・七里ほど追撃したが日が暮れまた水路不案内によりそれ以上は攻撃しなかった。韓国では鳴梁大捷と呼ばれ、「李舜臣率いる少数の朝鮮水軍が日本軍に勝利を収めた戦い」と認識されている。李舜臣の乱中日記には日本軍が攻めてこなくなったので安全策をはかり西上したとあるが、毛利高棟文書には朝鮮軍が「逃退」したとあり、久留島家文書には日本軍が朝鮮軍を「即時追散」したとある。いずれにせよ李舜臣は全羅右水営を放棄せざるをえず、一ヵ月後に帰還した際にはその周囲の荒れようを嘆いている。


  1. ^ a b 『朝鮮役陣立表』(慶長2年)大阪城天守閣蔵
  2. ^ a b 『日本戦史 朝鮮役』本編 354頁
  3. ^ a b 慶長2年(1597年)2月21日付朱印状『立花家文書』等
  4. ^ 八月二一日付、藤堂高虎宛、増田長盛書状『高山公実録』
  5. ^ 慶長2年(1597年)8月26日付・宇喜多秀家他27名連署状『中川家文書』
  6. ^ 『乱中日記』では指揮下の全数が13隻と解釈できるがその全てが戦闘に参加したかは不詳であり、朝鮮側史料でも『懲毖録』など12隻とするものがある。日本側史料では『高山公実録』では13隻、『毛利高棟文書』では14隻とあり、12から14隻の範囲内であることが推定できるが、史料を基にするならば「13隻」という断言はできない。
  7. ^ a b c d e 「乱中日記」
  8. ^ 『毛利高棟文書』では小船数百艘
  9. ^ 『李忠武公全書』 卷10付録「行状」、「行録」
  10. ^ 『乱中日記』、『李忠武公全書』 卷10付録「行状」、「行録」
  11. ^ 『日本戦史 朝鮮役』本編 368頁
  12. ^ 李舜臣自身は「乱中日記」の中で31隻を撞破(撞破=突き破る)したと書いている。これは李の自己申告である上に、本来の意味での「撞破」は船体をぶつけて相手船を破壊する旨の意味だが、朝鮮水軍の主力船にはそのような(衝角などの)装備はあったとされる史料はないため、好意的に解釈したとしてもあくまで比喩的表現であろうという認識に留まらざるを得ない。
  13. ^ 『高山公実録』
  14. ^ 『毛利高棟文書』
  15. ^ 後に『看羊録』を残した姜沆が9月23日に藤堂水軍の捕虜となった地点は全羅道霊光の西岸である
  16. ^ 征韓録
    NDLJP:936356/117
  17. ^ 史籍集覧. “藤堂家覺書”. 2022年8月23日閲覧。
  18. ^ 日本側の史料の毛利高政の転落に関連する記載には、同時に少なくとも数名の転落溺死した朝鮮兵の記録がある。武功とはならないために記録しなくても問題ないが、記載されている。これらの自軍の損害について李は触れていない。同時に、数百艘の小舟に分乗していた避難民らを保護して撤退した旨の記載はない。見捨てた可能性もある。
  19. ^ 中川秀政はプライベートでの狩猟中に襲撃されて死亡しているため、この海戦での戦死ではない。
  20. ^ 「両国壬辰実記」撰者割注
  21. ^ 朴鐘鳴 東洋文庫「懲毖録」脚注


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