需要の価格弾力性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/01 11:11 UTC 版)
経済学 |
---|
![]() |
理論 |
ミクロ経済学 マクロ経済学 数理経済学 |
実証 |
計量経済学 実験経済学 経済史 |
応用 |
公共 医療 環境 天然資源 農業 開発 国際 都市 空間 地域 地理 労働 教育 人口 人事 産業 法 文化 金融 行動 |
一覧 |
経済学者 学術雑誌 重要書籍 カテゴリ 索引 概要 |
経済 |
![]() |
需要の価格弾力性(じゅようのかかくだんりょくせい、英: Price elasticity of demand)は、財の価格が1%上昇したときのその財の需要の変化率のこと[1]。需要の価格弾力性が-2の場合、価格が1%上昇したときに需要が2%減少することを意味する。多くの場合、価格の上昇はその財の需要を減らすので、需要の価格弾力性はマイナスの値をとることが多い。通常、マイナスの値をとるので、マイナスの符号を省いて絶対値を指すことが多い[2]。
概要
ある財の需要の価格弾力性は以下のように計算される[3][4][5][2]。
-
線形需要曲線における需要と収入 (価格×数量) の関係を示ている。弾力的は範囲(図の左側)では「需要の価格弾力性」が1よりも大きいので、価格の低下は収入を増やす。一方、非弾力的は範囲(図の右側)では、「需要の価格弾力性」が1よりも小さいので、価格を低下させても需要はそれほど増えず、収入が減少する。収入は、弾力性が1のとき最大値をとる。 価格の変化の大きさに対して、需要の価格弾力性は必ずしも一定ではない[7][8]。価格1%の変化は、初期価格が高いか低いかによって需要の変化に影響する[9]。「価格-数量ダイアグラム(縦軸に価格をとって横軸に数量をとった図)」において、需要曲線が直線で書けるとき、価格弾力性は線形の需要曲線に沿っても一定ではなく、曲線に沿って変化する(右の図を参照のこと)[注 1]。
需要の価格弾力性は価格が上昇するときと低下するときで絶対値が等しくならない(対称的でない)[12][13]。価格が10円から16円に上昇し、需要が100単位から80単位に減少したとする。このとき、価格の上昇率が60%で、需要の減少率が20%なので、需要の価格弾力性は(−20%)/(+ 60%) ≈ −0.33となる。
一方で、価格が16円から10円に低下し、需要が80単位から100単位に増加した場合、価格の低下率が37.5%で、需要の増加率が25%なので、需要の価格弾力性は(+25%) /(−37.5%) = −0.67となる。これをインデックス・ナンバー問題(Index number problem)と呼ぶ。
その他の定義
弧弾力性
弧弾力性(こだんりょくせい、またはアーク弾性、英: Arc elasticity)は、ヒュー・ダルトンが提示した弾力性の定義である。弧弾力性は、インデックス・ナンバー・プロブレムを克服している。弧弾力性は、以下のように定義される[13][14][15]。
-
マーシャルが需要の価格弾力性を定義した図 アルフレッド・マーシャルが1890年の『経済学原理』で「需要の価格弾力性」を最初に定義したとされる[18]。クールノーの需要曲線から、需要の価格弾力性の定義式を導出している。マーシャルは、「市場における需要の弾力性は、価格の下落に対して需要がどれくらい増加するか、あるいは減少するかを測る指標である」と述べている[19]。彼は、「財の価格が上昇したら、通常は需要は減少する。しかし、減少度合いが大きい場合も小さい場合もある。減少度合いが大きい場合は、わずかな価格の変化が大きな影響を与えるということである」と述べている[20]。マーシャルの需要の価格弾力性は点弾力性であり、微積分を用いて弾力性を計算している[21]。
限界収入との関係
次式が成立する。
-
Weblioに収録されているすべての辞書から需要の価格弾力性を検索する場合は、下記のリンクをクリックしてください。

- 需要の価格弾力性のページへのリンク