随意的停止
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/14 23:14 UTC 版)
被告が不当な行為をしているが、訴訟が提起されようとし、あるいは実際に提起されるとこのような行いを止めてしまうというときは、裁判所はこのような是正措置のゆえに事件がムートであるとはみなさない。明らかに、当事者が事件が却下されるのに十分な期間に限って不適切な行為を止め、その後不適切な行いを再開する可能性がある場合である。例えば、地球の友社対レイドロウ環境サービス社事件において、最高裁判所は、汚染源事業者は、これに対して諸種の抑止手段としての民事制裁を追及されている場合には、汚染行為を止め、汚染の原因である工場を閉鎖したときであっても、事件がムートであると主張することができないと判示した。裁判所は、事業者がその種の工場を操業する許可を維持している限り、仮に請求に係る制裁による抑止を免れるとすれば、どこか他の場所で類似の事業を開始することになるであろうとも付言している。 もう一つの例は、既存の法に対して法律上の異議が申し立てられたが、裁判所の事件が解決される前に異議の対象とされた法が改正されるか又は廃止されるかして、裁判所が当該異議を「ムート」であるとして却下するときに生ずる。これの最近の実例は、 Moore 対 Madigan 事件で生じた。同事件では、イリノイ州法務長官である Lisa Madigan は、合衆国第七巡回区控訴裁判所がイリノイ州の拳銃携行禁止令を無効とした裁定に対し合衆国最高裁判所に上訴することを断念した。なぜなら、その後イリノイ州は、州の発行する許可証とともに人目につかないよう携行することを合法化する法律を可決したため、事件がムートとなってしまったからである。
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