長野県・犀川上流発電用ダム群の治水協力
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「平成18年7月豪雨」の記事における「長野県・犀川上流発電用ダム群の治水協力」の解説
犀川上流(梓川)にある奈川渡ダム・水殿ダム・稲核ダムおよび支流・高瀬川の高瀬ダム・七倉ダムは東京電力の発電用ダムであり、洪水調節は目的としていない。従って治水に対する責務は有していないが多目的ダムが少なく、かつ降水量の多い犀川流域においてはこうした発電専用ダムも治水対策として発電に使用する有効貯水容量を差し引いた総貯水容量の中から空き容量を使い、集中豪雨や台風の際には洪水を貯水することで事実上洪水調節を行っている。 平成18年7月豪雨では特に長野県で被害が大きかったが、被害の集中した天竜川流域に比べ信濃川・犀川流域では被害は少なかった。特に犀川では危険水位に到達するほどの洪水となったものの堤防からの洪水越流は起きなかった。これは洪水調節機能を持つ大町ダム(国土交通省直轄ダム)だけでなく、前述の5ダムが空き容量を使って洪水を貯水し、下流への放流を極力抑えたことによる。通常発電専用ダムは流入した洪水をそのまま放流するが、高瀬ダムや奈川渡ダムではこうした方法を用いて大町ダムと連携し洪水を抑え、下流の水害を防止したのである。 こうした利水専用ダム、すなわち治水目的のないダムにおける水害時における対応は河川法第44条から第51条に規定されており、「利水ダムを設置する者は河川の従前の機能を維持するために必要な施設を設け、またはこれに代わる措置をとる」と定められている。また河川法施行令第23条において具体的なダムの種類が挙げられているが、高瀬ダムはその種類に該当するダムであるため河川法の規定に基づき上記のような操作を洪水時に実施している。
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