長谷川四郎 (作家)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 長谷川四郎 (作家)の意味・解説 

長谷川四郎 (作家)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/07 03:53 UTC 版)

長谷川四郎(1964年)

長谷川 四郎(はせがわ しろう、1909年明治42年〉6月7日 - 1987年昭和62年〉4月19日日本小説家[注釈 1]

来歴・人物

北海道出身。函館中学卒業。立教大学を経て法政大学文学部独文科卒業。1936年、南満州鉄道株式会社に入社[1]。退社後招集。5年に及ぶシベリア抑留を送る[2]

復員後、シベリア抑留経験をもとに「近代文学」に作品を発表した。その後、新日本文学会で活躍し、1960年代の同会を花田清輝と共にささえた。この間、1967年3月には、ベイルートで開かれた第3回アジア・アフリカ作家会議に、日本代表団の団長として出席した。1974年に、花田清輝と戯曲『故事新編』(魯迅の同名の作品に基づいたもの)を共同制作した。

主な作品は『長谷川四郎作品集』(全4巻・晶文社毎日出版文化賞受賞、1969年)、『長谷川四郎全集』(全16巻・晶文社、1977年 - 1978年)に収められた。

晶文社で「全集」以降の著作に、『ぼくのシベリアの伯父さん 長谷川四郎読本』(編著)と『文学的回想』(小著、1983年)が、没後の遺著に『山猫の遺言』(1988年)がある。

2009年8月に、生誕100年記念出版『KAWADE道の手帖 長谷川四郎 時空を超えた自由人』(河出書房新社)が刊行された。

また、アルセーニエフデルスウ・ウザーラ 沿海州探検行』(平凡社東洋文庫、河出書房新社[河出文庫]全2巻)を訳している。黒澤明監督『デルス・ウザーラ』(日ソ合作、1975年)の原作となっている。

実兄は順に、小説家の長谷川海太郎洋画家長谷川潾二郎ロシア文学者・詩人の長谷川濬。四郎の長男である長谷川元吉は、吉田喜重監督の映画やCMのカメラマンであり、『父・長谷川四郎の謎』(草思社、2002年)を刊行している。

著書

  • シベリヤ物語 (筑摩書房 1952年/旺文社文庫、講談社文芸文庫)
  • 鶴 (みすず書房 1953年/集英社文庫、講談社文芸文庫)
  • 無名氏の手記 (みすず書房 1954年)
  • 赤い岩 (みすず書房 1954年)
  • 悪い夢 (ダヴィッド社 1955年)
  • 阿久正の話 (河出新書 1955年/講談社文芸文庫)
  • 遠近法 (パトリア (新鋭作家叢書) 1957年)
  • 通り過ぎる者 (講談社 1958年)
  • 随筆丹下左膳 (みすず書房(みすず・ぶっくす) 1959年)
  • トロワ・コント (実業之日本社 1959年)
  • ベルリン物語 (勁草書房 1961年)
  • 目下旧聞篇 きょうかたるきのうのこと (未來社 1963年)
  • さまざまな歌 詩集・訳詩集 (思潮社 1965年)
  • 長谷川四郎作品集 (全4巻 晶文社 1966年-1969年)
  • 模範兵隊小説集 (筑摩書房 1966年)
  • シベリヤ再発見 開かれる自然と詩 (三省堂新書 1968年)
  • 恐ろしい本 (筑摩書房 (ちくま少年図書館) 1970年)
  • ボートの三人 (河出書房新社 1971年)
  • ぼくの伯父さん (青土社 1971年)
  • ダンダン 海に落ちた話 (筑摩書房 (ちくま少年文学館) 1972年)
  • 原住民の歌 (詩集 晶文社 1972年)
  • 知恵の悲しみ わがバリエテ (創樹社 1973年)
  • 中国服のブレヒト (みすず書房 1973年)
  • 長谷川四郎の自由時間 (土曜美術社 1975年)
  • 長谷川四郎全集 (全16巻 晶文社 1976年-1978年)
  • 北京ベルリン物語 (筑摩書房 1976年)
  • 長い長い板塀 (河出書房新社 1976年)
  • よく似た人 (筑摩書房 1977年3月)
  • 九つの物語 (青土社 1980年12月)
  • ぼくのシベリアの伯父さん 長谷川四郎読本 (晶文社 1981年5月)
  • 長谷川四郎詩集 (小沢信男編 土曜美術社 (日本現代詩文庫) 1982年4月)
  • ところで今は何時かね (画文集 大和美術印刷出版部 (きゃらばん文庫) 1982年11月)
  • 文学的回想 (晶文社 1983年6月)
  • 山猫の遺言 (晶文社 1988年4月)
  • ベルリン一九六〇 (講談社文芸文庫 1992年)
  • ちくま日本文学全集46 長谷川四郎 (筑摩書房 1992年)
  • 鶴・シベリヤ物語 (みすず書房(大人の本棚) 2004年)
  • 長谷川四郎集〈戦後文学エッセイ選2〉 (影書房 2006年)

翻訳

  • パスキエ家の記録 (全10巻 ジョルジュ・デュアメル みすず書房 1950年-1952年)
  • ソヴェト文学入門 (ジャン・ペリュス みすず書房 1952年)
  • グラン・モーヌ ある青年の愛と冒険 (アラン=フルニエ みすず書房 1952年/新装版2004年)
  • ウスリー紀行 (アルセーニエフ 河出書房(世界探検紀行全集) 1953年)
  • リルケ読本 (河出新書 1956年)
  • 海 (訳詩集 飯塚書店 1956年)
  • 平和の味 (詩集 ギュヴィク 国文社・ピポー叢書 1957年)
  • 尋問 (アンリ・アレッグ みすず書房 1958年)
  • 三銃士デューマ 講談社(少年少女新世界文学全集) 1963年)
  • コイナさん談義 (ベルトルト・ブレヒト 未來社 1963年)
  • キューバの歌 詩集(ニコラ・ギリェン 国文社・ピポー叢書 1964年)
  • デルスウ・ウザーラ 沿海州探検行 (アルセーニエフ 平凡社東洋文庫 1965年/河出文庫(全2巻) 1995年)
  • 世界反戦詩集 (木島始菅原克己共編 太平洋出版社 1970年)
  • 壁に隠れて 理髪師マヌエルとスペイン内乱 (ロナルド・フレーザー 平凡社 1973年/新装版2001年)
  • 風の神の琴 (訳詩集 せりか書房 1973年)
  • コケコッコー (ラインホルト・エーアハルト ほるぷ出版 1976年9月)
  • ヤチのおにんぎょう ブラジル民話より (C.センドレラ ほるぷ出版 1976年9月)
  • オリバーくん (ロバート・クラウス ほるぷ出版 1976年6月)
  • マラルメ先生のマザー・グースステファヌ・マラルメ 晶文社 1977年3月)
  • ブレヒト詩集 (みすず書房 1978年8月/新装版 1998年)
  • シベリアの密林を行く (アルセーニエフ 筑摩書房 1978年2月)
  • 吉備津の釜うらない 雨月物語 (平凡社 1978年9月)
  • おおきくてもちいさくても… (マリア・エンリカ・アゴスティネリ ほるぷ出版 1979年8月)
  • ねずみせんせいのしんさつじかん (イングリット・オルデン ほるぷ出版 1980年6月)
  • 家庭用説教集 (ベルトルト・ブレヒト 野村修共訳 晶文社 (ブレヒト・コレクション) 1981年6月)
  • 子供の十字軍 (ベルトルト・ブレヒト リブロポート 1986年1月/新装復刊 パロル舎 2005年)
  • カフカ傑作短篇集 (福武文庫 1988年3月)
  • ロルカ詩集(土曜社 2020年)

参考文献

  • 長田弘『詩人であること』岩波書店、1983年8月30日。 

脚注

注釈

  1. ^ ボードゲームオセロの開発者長谷川五郎の父で英文学者の長谷川四郎とは、同姓同名の別人である。

出典

  1. ^ 北海道立文学館編 『北海道文学大辞典』 (PDF) 北海道新聞社
  2. ^ 長田 1983, p. 166.


このページでは「ウィキペディア」から長谷川四郎 (作家)を検索した結果を表示しています。
Weblioに収録されているすべての辞書から長谷川四郎 (作家)を検索する場合は、下記のリンクをクリックしてください。
 全ての辞書から長谷川四郎 (作家) を検索

英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「長谷川四郎 (作家)」の関連用語

長谷川四郎 (作家)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



長谷川四郎 (作家)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの長谷川四郎 (作家) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS