鋏角の機能
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 17:19 UTC 版)
「ダイオウウミサソリ科」の記事における「鋏角の機能」の解説
本群の強大な鋏角は幅広い可動域をもち、付け根の関節によって全体をねじるように回転することができたと考えられる。そのため、本群の鋏角は自衛のためだけでなく、獲物を捕獲して口に運ぶ役をも担ったと考えられる。本群が強大化した1対の鋏型付属肢をもつことは、同じく水棲節足動物であるカニと比較できる。ただしそれに比べて本群の口器は大きな餌を摂るのに不向きのため、一方の鋏角で獲物を掴み、もう一方でその肉片を細かく切り取るという、継続的かつ単調な動きで餌を口と顎基の所に運んでいたと推測される。 本群の鋏角の柄部を鋏より長く2肢節があると解釈した Kjellesvig-Waering 1964 では、その柄部が鋏より長いものの途中の関節によって屈曲でき、鋏に捕まえられる餌を口まで届ける(逆にいうと、その長い柄部は途中に分節がなければできない)と考えられた。Kjellesvig-Waering 1964 で「柄部前半部の肢節」と解釈された部分を内部構造と見直した Selden 1984 では、本群の鋏角は柄部と鋏の関節を180度ほど折り畳めることによって、鋏に捕まえられる餌をそのまま口や直後の脚まで届けたと考えられる。柄部と掌部に収まる腱は構造の違いによって、それぞれ素早い動きと強力な把握力に適した筋肉に連結していたとされる。これにより、本群は遊泳する時に鋏角を折り畳んで、餌を捕獲しようとする瞬間で柄部と鋏の関節を素早く展開し、先端の鋏でそれを確保できたと考えられる。
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