金剛女の宮
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/08 09:12 UTC 版)
『神道集』「諏方大明神五月会事」によると、天竺舎衛国の波斯匿王の娘に「金剛女(こんごうにょ)の宮」という天下第一の美人があったが、17歳の時に鬼となってしまった。これは過去世で善光王の后だった時に300人の女に嫉妬して、女たちを大蛇のあるうつぼ船に閉じ込めて殺した報いである。祇陀大臣という人が金剛女を預かることとなり、「構宮(かまえみや)」と呼ばれる宮殿に二人は暮らした。 ある時、釈尊が大王に頼まれて数日間にわたって王宮で説法を行った。これを知った金剛女は王宮の方を伏し拝みながら、「汚れたこの世には住みたいと思いません。どうか未来の世でのご利益を施してください」と願い出た。その瞬間、釈尊の眉間から光が放たれ、金剛女は三十二相を具えた美しい姿となった。これを不思議に思った大王は、この姫にはほかの婿をとってはならないと考えて、祇陀大臣を婿に迎えることにした。金剛女・祇陀夫妻は後に日本に移住し、諏訪の神となった。この話によれば、金剛女は会者定離を示すための化身で、本地は千手観音である。 日光輪王寺蔵『諏訪神道縁起』は金剛女の鬼形変身の苦難を説くことはないが、「下宮后大明神」を『神道集』と同様に波斯匿王の娘とし、それに準ずる伝承が隠されているといえる。
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