金イオンへの耐性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/02/07 14:09 UTC 版)
「デルフチア・アシドボランス」の記事における「金イオンへの耐性」の解説
デルフチア・アシドボランスは、普通の土壌や水中にも生息する細菌であるが、奇妙なことにしばしば小さな金塊の表面で発見されていた。金イオンは単体の金とは異なり強い酸化力を持つため、ほとんどの生物に対して毒性を示す。このため、デルフチア・アシドボランスがなぜ有毒な金イオンに対して並外れた耐性を持っているのかは謎であった。 2012年にカナダの研究チームによって、デルフチア・アシドボランスが分泌する代謝物であるデルフチバクチンAが、水に溶けた金イオンから生体を保護し、また金イオンを無毒な金の単体に変える能力を持つことが突き止められ、2013年2月3日ネイチャー ケミカルバイオロジーに掲載された。実験は、金イオンの元として塩化金を培養液に溶かすことによって行われた。デルフチバクチンAは、室温で中性の環境ならば、数秒でこの作用を行うことができる。金の生体鉱物化は初の発見である。 金イオンを無毒化するデルフチバクチンAの生成は、Daci-4754と呼ばれる遺伝子によって行われていると考えられており、この遺伝子を働かないようにしたデルフチア・アシドボランスは、金塊の上で増殖しなくなった。これは、デルフチバクチンAが生成できず、金塊から発生する金イオンによって活動が阻害されるためと考えられた。
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