金と錬金術・科学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 06:15 UTC 版)
こうして金が財力として価値が見いだされると、新たに金を採掘するよりも容易に金が得られる技術の開発が試みられた。金そのものの性質を調べることに加え、それまでの冶金術を元に、身近な金属や物質から金を作り出す研究が盛んに行われ、これは錬金術として確立した。占星術からの引用で太陽を表す記号で金も表し、金を生み出すことができるとされた物質には賢者の石の名を与えた。錬金術師達により賢者の石を作ることに多くの努力がなされ、その試みの全ては失敗に終わったが、得られた多くの成果はその後の化学や物理学の基礎となった。 現代では原子核物理学と宇宙物理学の発展により、鉄(原子番号26)より重い元素核種は、中性子捕獲とベータ崩壊によって作られることがわかっている。この過程を解明するための再現実験で、金よりも原子番号が一つ大きい水銀(原子番号80)の安定核種に中性子線を照射すると放射性同位体が生成され、これがベータ崩壊することで金の同位体が得られる。ただし、これらは安定核種ではない(放射能を持つ)上に、実用に耐えうる十分な量の金を求めるのなら長い年月と膨大なエネルギーが必要であり、得られる金の時価と比べるともちろん現実的でない。
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