道満と晴明智恵くらべの事
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「安倍晴明物語」の記事における「道満と晴明智恵くらべの事」の解説
(承前) (時間は少し戻る)都に入った道満が市井の人に晴明のことを尋ねると、20日前には自分の到来を予期していたという。これを聞いた道満は胸騒ぎを覚えた。道満は術で家来を仕立て上げ、晴明の館を訪ね、自分と晴明の陰陽の才を比べたいと申し出る。晴明は快諾し、詳細を道満に委ねたところ、道満は同じ事なら禁中の紫宸殿で行いたいという。晴明も同意し、急ぎ奏上したところ勅許が下りた。 いよいよ対決のときがきた。最初に道満が小石を投げ上げると燕に変じる。皆が感嘆しているところで、晴明が扇を一あおぎすると燕は小石に戻って落ちた。次は晴明が祈念すると龍が雲より下り雨を降らせる。道満はいろいろ行うが、雨は降り止まない。水量が増えて舟を浮かべられる程になったとき、晴明がなにやら唱えると雨が上がり、びしょ濡れだったはずの観客の服も乾いている。観客は驚き、賞賛の声を上げた。そこで道満が「こんなことは人を誑かすだけの魔法非道であり、正理とはいえない。占いの技で勝負を決しよう」と呼びかける。さらに「負けた方が勝った方の弟子となることにしよう」と申し添えた。 奥で長櫃に夏みかんを15個入れ、上に重しを乗せて観客の眼前に出された。道満は占った末、「中には夏みかんが15個ある」と答えた。中身を知っていた天皇や公卿たちが道満が正解したと思ったそのとき、晴明が長櫃に近づき加持し直し「中身はねずみ15匹である」と言う。天皇公卿は晴明が間違ったと思い、色を失ったが、衛府の役人がふたを開くと、15匹のねずみが駆け出してきて、四方に逃げ去った。長櫃の中に夏みかんなど影も形もなかった。観客一同はざわめき、晴明の才に感じ入った。道満は晴明に及ばなかったことを恥じ、晴明の弟子となり、西洞院の館に住むこととなった。
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