進化キャパシタンス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/02 00:04 UTC 版)
近年出版された一部の学術論文において、[PSI+]と[psi-](非プリオン状態)の変換が行われることが、進化で有利に働くかもしれないという報告がなされている。しかし、これについては論争中である。 スーザン・リンドキストは同一遺伝型をもつ酵母の集団が、Sup35pのプリオンを有しているかどうかで、異なる表現型を呈することを示した。リンドキストの実験では、異なる遺伝背景をもつ7種類の酵母株の[PSI+]と[psi-]株を用意し、さまざまなストレス条件下で生育させた。ある場合では[PSI+]でより速い成長を呈し、また別の場合では[psi-]においてより速い成長を呈した。リンドキストは、[PSI+]が進化キャパシターとしての働きを有し、ストレス発生時に潜在的な遺伝変異を創りだすことにより、自然選択における順応が促進されるのではないかと提唱した。 この遺伝変異は終止コドン以外でも起き、[PSI+]の時にはin-frame lossが比較的高い確率で起こることも示されている。数理モデルを用いた研究に拠ると、[PSI+]はこの機能のために進化してきた可能性があるという。
※この「進化キャパシタンス」の解説は、「Sup35p」の解説の一部です。
「進化キャパシタンス」を含む「Sup35p」の記事については、「Sup35p」の概要を参照ください。
- 進化キャパシタンスのページへのリンク