連続関数の極限としての表示
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/08 15:08 UTC 版)
「ディリクレの関数」の記事における「連続関数の極限としての表示」の解説
ディリクレの関数は、ディリクレ本人によって、 f ( x ) = lim n → ∞ lim k → ∞ cos 2 k ( n ! π x ) {\displaystyle f(x)=\lim _{n\to \infty }\lim _{k\to \infty }\cos ^{2k}(n!\,\pi x)} と表せることが示されている(したがってディリクレ関数は 2 階のベール関数の一例である)。その方法は次による。 任意の有理数 q を考える。n! q は、十分大きな n に対して恒等的に整数である。それに比べ、無理数 r は、いくら n を大きく取っても n! r が整数にならない。従って、ディリクレの関数は、次のように変形できる。 f ( x ) = { 1 ( n ! x ∈ Z ) 0 ( n ! x ∈ R ∖ Z ) ( n → ∞ ) {\displaystyle f(x)={\begin{cases}1&(n!\,x\in \mathbb {Z} )\\0&(n!\,x\in \mathbb {R} \smallsetminus \mathbb {Z} )\end{cases}}(n\to \infty )} ただし、ℤ は整数全体の成す集合。さてここで、関数 F ( x ) = { 1 ( x ∈ Z ) 0 ( x ∈ R ∖ Z ) {\displaystyle F(x)={\begin{cases}1&(x\in \mathbb {Z} )\\0&(x\in \mathbb {R} \smallsetminus \mathbb {Z} )\end{cases}}} を表示できれば、f(x) = lim[n→∞] F(n!x) となって決着がつく。(F は単独で考えても興味深い関数である。) F は、不連続でありながらも周期的である。一定の周期を持つ関数として三角関数を考える。cos2(πx) は、x が整数であれば 1 を返し、それ以外であれば [0, 1) 内の実数を返す。[0, 1) 内の実数は、無限回冪乗することによって 0 に収束させることが出来る。また、1 はいくら冪乗しても常に 1 となって変化しない。これより、 F ( x ) = lim k → ∞ cos 2 k ( π x ) {\displaystyle F(x)=\lim _{k\to \infty }\cos ^{2k}(\pi x)} が結論付けられる。従って、 f ( x ) = lim n → ∞ F ( n ! x ) = lim n → ∞ lim k → ∞ cos 2 k ( n ! π x ) {\displaystyle f(x)=\lim _{n\to \infty }F(n!x)=\lim _{n\to \infty }\lim _{k\to \infty }\cos ^{2k}(n!\pi x)} となる訳である。
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