連接コホモロジー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/24 05:01 UTC 版)
連接層の層係数コホモロジー論は、連接コホモロジー(coherent cohomology)と呼ばれる。これは層の主要で最も実りの多い応用の一つで、この結果はただちに古典的な理論と結びついている。 フレシェ空間のコンパクト作用素の定理を使い、カルタンとセールは、コンパクトな複素多様体上では、任意の連接層のコホモロジーは有限次元のベクトル空間になるという性質を持っていることを証明した。 この結果は、ケーラー多様体上の局所自由層の特別な場合に、小平邦彦により以前に証明されていたものの拡張である。GAGA の同値性の証明に重要な役割を果たしている。この定理の代数的な(非常に簡単な)バージョンは、セールにより証明された。この結果の相対的なバージョンは、グロタンディーク(Grothendieck)により代数的な場合に証明され、グラウエルト(英語版)(Hans Grauert)とレンマート(英語版)(Reinhold Remmert)が解析的な場合に証明した。例えば、グロタンディークの結果は、f をスキームの固有射としたときに、連接層 F のプッシュフォワード、函手 Rif*F が連接層になることを主張する。(この函手Ri f*は層の順像(英語版) f* の右導来函手である。)セールの結果は相対的な結果を点への射に適用したものとみなすことができる。 セール双対性を拡張したスキーム理論の双対性は、連接双対性(英語版)(coherent duality)(もしくはグロタンディークの双対性)と呼ばれる。ある緩やかな有限性条件の下で、代数多様体上のケーラー微分の層 Ω1X は、連接層 である。多様体が滑らかなとき、Ω1X は局所自由層であり、対応するベクトルバンドルは X の余接バンドルである。セール双対性によれば、次元が n である滑らかな射影多様体 X に対し、もっとも次数の高い外積 ΩnX = ΛnΩ1X は、連接層コホモロジーに対し双対対象としてふるまう。
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