近江丸 (初代)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/12 16:49 UTC 版)
近江丸(初代) | |
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基本情報 | |
船種 | 貨客船 |
クラス | 山城丸型貨客船 |
船籍 | ![]() |
所有者 | 共同運輸 日本郵船 |
運用者 | ![]() 日本郵船 |
建造所 | アームストロング・ミッチェル社 |
母港 | 東京港/東京都 |
姉妹船 | 山城丸 |
船舶番号 | 877[1] |
信号符字 | HFRV |
経歴 | |
進水 | 1884年3月27日[1] |
竣工 | 1884年4月[1] |
その後 | 1910年5月26日 解体のため売却[2] |
要目 | |
総トン数 | 2,473トン[2] |
垂線間長 | 92.03m[1] |
型幅 | 11.48m[1] |
型深さ | 9.36m[1] |
主機関 | レシプロ機関 1基[1] |
推進器 | スクリュープロペラ 1軸 |
出力 | 2,000HP[1] |
速力 | 13.0ノット[2] |
近江丸(おうみまる)は共同運輸会社、日本郵船の鉄製汽船[2]。
「山城丸」の姉妹船で、2隻の船名はもともと「武蔵丸」、「大和丸」の予定であったが、海軍が「大和」と「武蔵」という名の艦を建造していたことから「山城丸」と「近江丸」に変更となった[3]。
船歴
イギリスのアームストロング・ミッチェル社で建造され[2]、1884年(明治17年)3月27日に進水し[1]、同年4月に竣工[1]。同年9月20日に横浜に到着した[4]。同年12月の甲申政変では御用船として輸送任務に従事した[5]。
1885年(明治18年)9月に共同運輸は郵便汽船三菱と合併して日本郵船となり、「近江丸」も日本郵船に継承された[6]。
「近江丸」は2度ハワイへの移民輸送をおこなった[7]。1889年(明治22年)3月3日ハワイ到着の回では957人、1891年(明治24年)3月30日到着の回では1081人の移民を運んだ[7]。
日清戦争では陸軍と海軍に徴傭された[8]。期間は陸軍が1894年(明治27年)6月5日から7月20日、海軍が同年7月11日から1896年(明治29年)1月25日であった[9]。海軍には巡洋艦代用として傭船された[3]。雇用費は17万8557円[10]。兵装は80年式30口径17cm克砲2、旧式7,6cm安式砲4、4連装ノルデンフェルト砲6、小銃115、拳銃44、舶刀44であった[10]。「近江丸」の主任務は水雷艇の母艦任務で、他に艦隊根拠地の水雷敷設任務などもあった[11]。「近江丸」は台湾・澎湖諸島占領の際には第四水雷艇隊の母艦を務めた[12]。次いで艦隊の福建省沿岸巡航に水雷艇3隻を伴って参加[13]。その後、西海艦隊に編入された[13]。1895年(明治28年)7月20日には「近江丸」でコレラが発生している[13]。
1896年(明治29年)10月に開設された横浜・メルボルン航路に「近江丸」は就航している[14]。
義和団事件の際には1901年(明治34年)6月23日から7月25日まで陸軍に徴傭された[15]。
日露戦争では海軍に1904年(明治37年)1月6日から1905年(明治38年)2月23日まで、陸軍に同年2月24日から1906年(明治39年)3月22日まで徴傭された[16]。海軍では石炭、清水、軍需品等を艦隊へ供給する運送船として使用された[17]。
1910年(明治43年)5月26日、解体のため大阪の山科礼三に売却[2]。
脚注
- ^ a b c d e f g h i j “なつかしい日本の汽船 近江丸”. 長澤文雄. 2025年7月13日閲覧。
- ^ a b c d e f 木津重俊(編) 1984, p. 51.
- ^ a b 石橋孝夫 2024, p. 15.
- ^ 日本郵船 1935, pp. 42–43.
- ^ 日本郵船 1935, pp. 43–44.
- ^ 木津重俊(編) 1984, p. 17、51.
- ^ a b 日本郵船 1935, pp. 98–99.
- ^ 日本郵船 1935, p. 127、130.
- ^ 日本郵船 1935, p. 127、130. 期間については出典通りであるが、陸軍と海軍で重複があり、誤記の可能性もある。
- ^ a b 石橋孝夫 2024, p. 17.
- ^ 石橋孝夫 2024, pp. 15-16、24-25.
- ^ 石橋孝夫 2024, p. 26.
- ^ a b c 石橋孝夫 2024, p. 27.
- ^ 日本郵船 1935, p. 151.
- ^ 日本郵船 1935, p. 184.
- ^ 日本郵船 1935, p. 197、199、204.
- ^ 日本郵船 1935, p. 201.
参考文献
- 木津重俊 編『日本郵船船舶100年史 世界の艦船・別冊』海人社、1984年。ISBN 4-905551-19-6。
- 石橋孝夫『日本海軍仮装巡洋艦入門』潮書房光人新社〈光人社NF文庫〉、2024年5月27日。 ISBN 978-4-7698-3361-1。
- 日本郵船 編『日本郵船株式会社五十年史』日本郵船、1935年。
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