転写活性化経路
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/29 13:58 UTC 版)
「芳香族炭化水素受容体」の記事における「転写活性化経路」の解説
AhRはリガンドが結合していない状態では不活性であり、分子シャペロンであるHsp90やp23、 XAP2と会合した状態で細胞質に優位に存在する。これらの分子シャペロンの結合によりAhRタンパク質はリガンドと結合可能なコンフォメーションに保たれている。TCDDやPCBなどの多環性芳香族炭化水素化合物がリガンドとして結合することにより分子シャペロンが解離し、核内へ移行する。AhRはそれ自身でホモ二量体を形成することはできず、核内ではARNT(AhR Nuclear Translocator)と呼ばれる分子とヘテロ二量体を形成し、DNA上の異物応答配列(XRE)と呼ばれるエンハンサー配列に結合することにより転写活性化が引き起こされる。エンハンサー配列上のAhR/ARNT複合体に対してヒストンアセチル化酵素であるCBP/p300などのコアクチベーターがリクルートされ、これによりmRNAの合成反応に関与する酵素であるRNAポリメラーゼIIのプロモーター領域への結合が促進される。また、AhRの活性を抑制するタンパク質としてAhR抑制因子(AhRR)と呼ばれる分子が知られており、ARNTに結合する段階でAhRと競合する。
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