趾蹠皮膚炎(FPD:Footpad Dermatitis)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/10 14:04 UTC 版)
「ブロイラー」の記事における「趾蹠皮膚炎(FPD:Footpad Dermatitis)」の解説
過密飼育が一般的になっているブロイラー養鶏において、敷料の衛生管理は重要な課題である。日本のブロイラー養鶏で敷料を交換している農場は3.5%にすぎず、一般的にブロイラー養鶏では雛を出荷(屠殺)するまで、床に敷かれたノコクズなどの敷料の交換は行われない。そのため、日齢がたつにつれて敷料は糞を吸収し、汚れていく。敷料の状態が悪化すると、ブロイラーの足の裏(趾蹠)に細菌が侵入し、炎症が生じたり、黒く焼け爛れた塊が現れることがある。この趾蹠皮膚炎はブロイラーへ疼痛や発熱ストレスを与え、歩行困難をもたらすことから、欧米ではアニマルウェルフェア(動物福祉)の指標の一つとして考えられている。 また、急激な成長を目的とした品種改良も趾蹠皮膚炎に影響している。比較的ゆっくり成長するブロイラーと、早く成長するブロイラーを比べると、早く成長するブロイラーは趾蹠皮膚炎の発生率が約2倍となっている。 鶏の足は「もみじ」などの名称で販売されている。法律上は、病変部である趾蹠皮膚炎は、食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律施行規則の「廃棄等の措置」に該当し、趾蹠皮膚炎を患ったもみじが市場に出回ることはないはずだが、実際は廃棄の判断が個々の食鳥処理場に委ねられていることから、趾蹠皮膚炎のもみじが市場に流通しているのが現状である。
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