超原子価分子における結合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/29 09:12 UTC 版)
「超原子価」の記事における「超原子価分子における結合」の解説
超原子価分子の幾何構造の初期考察は、原子結合についてのVSEPR模型によってうまく説明されていた親しみのある取り決めに戻る。それに基づいて、AB5ならびにAB6型分子はそれぞれ三角両錐ならびに八面体構造を取る。しかしながら、観察される結合角、結合長、ルイスのオクテット則の見掛けの違反を説明するため、いくつかの代替模型が提唱されてきた。 1950年代、超原子価結合の拡張原子価殻表現が、5配位および6配位分子の中心原子がsおよびp原子軌道に加えてd原子軌道を利用している分子構造を説明するために提示された。しかしながら、ab initio計算の研究における進歩は、超原子価結合へのd軌道の寄与はこの結合の性質を描写するには小さすぎることを明らかにしており、この描写ははるかに重要性の度合いが低いと現在は見なされている。6配位SF6の場合は、d軌道はS-F結合形成に関与していないが、硫黄原子とフッ素原子間の電荷移動および適切な共鳴構造が超原子価を説明できることが示されている(下記参照)。 オクテット則のさらなる改良が超原子価結合におけるイオン結合性を含めるために試みられてきた。これらの改良の一つとして、1951年に、定性的な分子軌道を使って超原子価結合を描写する三中心四電子(3c-4e)結合の概念が提唱された。3c-4e結合は中心原子上のp原子軌道と中心原子の両側の2つの配位子のそれぞれからの原子軌道との組み合わせによって与えられる3つの分子軌道として描写される。2つの電子対の1つのみが中心原子との結合に関与する分子軌道を占めており、2つ目の電子対は非結合性で、2つの配位子からの原子軌道のみから成る分子軌道を占めている。オクテット則が保たれるこの模型はMusherにも支持された 。
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