赤方偏移発見に貢献したドップラーとフラウンホーファー
赤方偏移発見を導いたドップラー効果
宇宙が膨張していることは、遠ざかる星ほど赤く見えるという赤方偏移の観測から実証されますが、この理論の確立には2人の物理学者が大きな貢献を果たしています。ドップラー効果を発見したオーストリアの物理学者クリスチャン・ドップラー(1803〜1853)と、光のスペクトル分析の基礎を築いたドイツのヨゼフ・フォン・フラウンホーフゼ(1787〜1826)です。
ドップラーの発見は、近づいてくる音は高く聞こえ、遠ざかる音は低く聞こえるという現象で、波動の振動数は、観測者と振動源の相対運動によって変化するというものです。当時、この発見はあまり注目されませんでしたが、のちにフランスの物理学者フィゾー(1819〜1896)が、光についてもこの理論があてはまることを実証し、光源が遠ざかるときは光は赤い方へ偏移し(赤っぽく見え)、近づくときは青い方へ偏移する(青っぽく見える)ことを提唱しました。
フランホーフゼ線の発見で、太陽スペクトル分析の基礎を確立
いっぽうフラウンホーフゼは、光学機械商としてレンズの開発にたずさわっていましたが、レンズの屈折率を測定する過程でプリズムを調べているときに、太陽スペクトルの中に多くの黒い線(暗線)が含まれていることを発見します。この線はフラウンホーフゼ線とよばれていますが、彼は700本の暗線を測定し、太陽スペクトル分析の基礎を確立しました。
のちのドイツの物理学者キルヒホフ(1824〜1887)は、この暗線が、太陽の温度の低い大気によって吸収されたものであることを確認し、地球にある元素が宇宙にも存在することを示します。このようにドップラーとフランホーフゼによる音と光の研究は、その後の宇宙観測には欠かすことのできない貴重な業績を残しました。
- 赤方偏移発見に貢献したドップラーとフラウンホーファーのページへのリンク