貨幣史と学説・政策
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/20 10:19 UTC 版)
学説と貨幣史 グレシャムの法則や、貨幣数量説などの貨幣に関する説は限定的であるか、史実に当てはまらない場合がある。グレシャムの法則は金貨については有効だが、良貨にあたる官銭が悪貨を抑制した中国の銅貨には当てはまらない。また、複数の貨幣が流通して多元的に評価されていると、貨幣の総量を測る意味がなく、貨幣数量説の前提が成立しない。 通貨の定義 現在では、国家は流通の安定のために法律によって貨幣に強制通用力を持たせている。これを特に法定通貨・信用貨幣という。この法定通貨は支払完了性を有しており、取引を無条件に完了させる決済手段となる。このため、所定の通貨の使用を拒否することはできない。 経済政策 中央銀行は、物価の安定、雇用の維持、経済成長の維持、為替レートの安定などを目的として金融政策を行っている。経済政策においては、(1)為替レートの安定化、(2)国際資本移動の自由化、(3)独立した金融政策という3つの選択肢の全てを同時に達成することは不可能とされており、国際金融のトリレンマと呼ばれる。達成可能なのは3つのうち2つの選択であり、(1)為替レートの安定化と国際資本移動の自由化、(2)独立した金融政策と国際資本移動の自由化、(3)為替レートの安定化と独立した金融政策のいずれかとなる。歴史的には、金本位制では(1)為替レートの安定化と国際資本移動の自由化、変動相場制では(2)独立した金融政策と国際資本移動の自由化、固定相場制では(3)為替レートの安定化と独立した金融政策がおおむね選択されてきた。 政治制度も通貨に影響を与える。19世紀の国際金本位制は、国際均衡が国内均衡に優先することも意味しており、そうした制度は普通選挙が普及しておらず国民が発言力を持たない時代に可能だったとされる。
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