複数積み重ねたときの挙動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/12 05:25 UTC 版)
「ボールの跳ね返り運動」の記事における「複数積み重ねたときの挙動」の解説
詳細は「すっとびボール」を参照 テニスボールをバスケットボールの上に乗せ、2つを重ねたまま同時に地面に落下させると、そのテニスボールが跳ね上がる高さは、テニスボールを単独で落とした場合よりもはるかに高くなる。この結果は一見、エネルギー保存則に反しているように見える。しかし、よく観察してみると、テニスボールと同時に落としたバスケットボールは、テニスボールを重ねずに単独で落とした場合に比べると、バウンド後の最高点は低くなっている。つまり、バスケットボールが持つエネルギーの一部がテニスボールに伝達され、テニスボールがより高くまでバウンドしたと考えられる。 よく用いられる説明として、この問題をバスケットボールが床に衝突することと、バスケットボールがテニスボールに衝突することの2つに分け、それぞれの影響を別々に検討するものがある。完全弾性衝突を仮定する。バスケットボールが1 m/sで床に衝突したとき、同様に1m/sで跳ね返ることになる。テニスボールも同様に1 m/sの速度で落下するが、バスケットボールを基準にするとバスケットボールが床に衝突して跳ね返った後は、テニスボールの相対速度は2 m/sとなる。したがって、テニスボールはバスケットボールに対して相対速度2 m/sで跳ね返ることになる。これは床に対する速度に直せば3 m/sである。つまり、テニスボールを単独で床に落下させた場合と比べると、3倍の速度で跳ね返ることになる。したがって、テニスボールは単独の場合と比較して、9倍の高さまで跳ね返る。実際にはこれらの衝突は非弾性衝突であるから、テニスボールが跳ね返る速度や到達する最高高度は上記の理論値よりも小さくなるが、それでも単独で落下させる場合よりも速く、より高く跳ね返るという結論は変わらない。 このような順次衝突が発生するという仮定は実際には有効ではない(衝突して跳ね返るまでのほとんどの時間において、2つのボールは互いに接触したままである)が、そうだとしてもこのモデルは実験結果をよく再現することが知られており、超新星のコア崩壊[訳語疑問点]やスイングバイ等のより複雑な現象を理解するために利用されることもある。
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