表面と大気
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/29 01:13 UTC 版)
エリスを発見した観測チームは、2005年1月25日にマウナケア天文台群のジェミニ北望遠鏡を用いてエリスの分光観測を行った。エリスから放射された赤外線による観測では、表面にメタンの氷が存在することが明らかになり、その表面は太陽系外縁天体の中で当時唯一メタンの存在が知られていた冥王星と海王星の衛星であるトリトンに類似していることが示されている。 やや赤みがかった色合いをしている冥王星やトリトンとは異なり、エリスの表面はほとんど白色に見える。冥王星の赤みがかった色はその表面にソリンが堆積しているためと考えられており、これらの堆積物が表面を暗くするとアルベドが低くなることで表面温度が高くなり、メタンの堆積物が蒸発するようになる。それと対照的に、エリスは太陽から十分に離れているため、アルベドが低い場所でもメタンが表面に凝縮する可能性がある。メタンが表面全体で均一に凝縮すると、アルベドの差異が低下し、赤みがかったソリンの堆積物が覆い隠されるようになる。 エリスは冥王星よりも最大で太陽から3倍離れる可能性があるが、表面温度が表面の氷の一部を昇華させるのに十分なほど高くなるまで太陽に近づくこともある。メタンは揮発性が高いため、エリスはこれまでずっと太陽から遠方に存在していたことでメタンの氷が表面に残り続けるのに十分な低温になっているか、大気から離散していくガスを補充しているメタンの内部供給源が存在することが示している。この特性は、エリスと同時期に発見された、メタンではなく水の氷が存在していることが知られているハウメアとは対照的である。
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