表現性の拡大
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/23 16:18 UTC 版)
歌詞との関係では、歌詞の韻律と音楽の拍節を意図的にずらすことで、より心理的・演劇的表現が追求されている。また、小人や巨人など異形のキャラクターの表現も特徴的で、小人には半音進行が多く、性急でぎくしゃくした音型を当て、巨人に対しては暴力的リズムの反復に金管の粗野な響きが組み合わされる。 さらに、異例な進行を反復することで、正常な進行を異化させる効果を打ち出した。例えば、第3場でミーメが「アルベリヒが悪知恵めぐらし」と歌う箇所では、3度音程を減5度という間隔で反復進行させ、そのあとにつづく単純明快な長三和音の分散型が、奇怪でおぞましい印象を与えるものとなる。この手法は、ワーグナーが後に掲げた「価値の反転」の先触れとなるものである。
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