衝撃波による水素の金属化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/19 02:12 UTC 版)
「金属水素」の記事における「衝撃波による水素の金属化」の解説
1996年3月、ローレンス・リバモア国立研究所の研究グループは、0.6 g/cmの密度の水素に数千ケルビンの温度と100GPa以上の圧力を数マイクロ秒間かけ、初めての金属水素を思いがけず発見したと報告した。研究チームは金属水素ができることを期待していなかったため、当時必要だと思われていた固体水素を用いず、また金属化理論から導かれる温度よりも高温で実験を行った。250GPa以上の圧力をかけるためにダイヤモンドのアンビル中で固体水素を圧縮していた以前の実験では、検出可能な金属化は見られなかった。研究チームは、予測される電気伝導度の変化を測定する目的で、ミサイルの研究に用いられていた1960年代のライトガスガンを用いて、0.5mmの厚さの液体水素サンプルが封入された容器に衝突板を発射した。液体水素は、電気抵抗を測定する装置に繋がったワイヤと接触していた。研究チームは、圧力が140GPaまで上がると、電気抵抗として測定される電気エネルギーのバンドギャップがほぼゼロに低下することを発見した。非圧縮状態での水素のバンドギャップは約15電子ボルトで絶縁体となるが、圧力が非常に大きくなるとバンドギャップは0.3電子ボルトまで徐々に低下する。液体の熱エネルギー(圧縮のため、温度は3000K程度になる)が0.3電子ボルト以上のため、水素は金属状態にあると考えられた。
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