血小板-白血球複合体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/25 15:32 UTC 版)
血小板は、白血球と結合することによって遊走することができる。血小板は自力で特定部位に遊走できないため、炎症や組織の損傷部位に自力で遊走・沈着する性質を有している白血球と複合体を形成することで、連れて行ってもらっていると考えられている。 血小板-白血球複合体の最初は、血小板膜表面に存在するP-セレクチンと、白血球表面に存在するP-セレクチン糖タンパク質リガンド-1(PSGL-1)が結合することによって始まる。これによって白血球と血小板はお互いに活性化しあい、最終的にフィブリノーゲンを介して血小板上のGPIIb/IIIaと白血球のαVβ3とが結合しあう。さらに双方が持つモノクローナル抗体であるCD36や、血小板のICAM-2と白血球のαLβ2などの受容体も結合に関わっており、これらによって複合体は形成されている。 遊走以外にも複合体の役割にはさまざまなものがある。たとえば白血球は、免疫反応のために血栓の中に侵入する際にも血小板と結合する。このとき、白血球の一種である単球は組織因子(TF)を発現しているため、血小板の中で凝固系の外因系が発現し、止血や血栓の形成促進に働く。 また、炎症が起きた際にも血小板は役割を果たす。血小板は白血球と結合すると、血小板由来成長因子(PDGF)やトランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)、PF-4といった白血球を活性化する物質(ケモカインと総称される)を産生、放出する。さらに、モノクローナル抗体の一種であるCD40と呼ばれるリガンドによって、白血球や内皮細胞を活性化し、免疫機能を促進する物質であるサイトカインを発現をさせる。その他に、血小板表面にはFcγIIA受容体が発現しており、これによって免疫グロブリンG(IgG)や免疫複合体といった抗体を結合させ、免疫系の補体系と呼ばれる反応を活性化する。
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