蘇と酥が別のものとする説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/14 04:16 UTC 版)
大般涅槃経の酥は現在のインドのサータヴァーハナ朝時代のサンスクリット語を今の中国で六朝時代に漢訳したものである。この事を考慮すると大般涅槃経の酥は延喜式の蘇とは別物である可能性が高い。六世紀半ばに中国で編纂された農書『斉民要術』によると酪はヨーグルト、酥は現在の生バターで、その後それを加熱して作るバターオイルを含めた総称である。仮に大般涅槃経の熟酥をバターオイルだと仮定すると、その後の醍醐に変化させる余地が無く、醍醐をバターオイルと仮定すると生酥と熟酥の二種類の説明がつかない。また、漢語同様サンスクリット語においても酪はヨーグルトを意味する。ヨーグルトから変化できる乳性食品は限られる。故に少なくとも熟酥までは加熱して生成する食品である可能性は低い。文脈と経典成立時の地域性を考えると酪はヨーグルト、生酥から熟酥はサワークリームから発酵バターへの変化を指し、醍醐は発酵バターからとれるバターミルクの事を指すとも考えられる。
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