蒲江について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/31 05:18 UTC 版)
本種の分布北限は上記のように大分県佐伯市の蒲江であるが、九州本土での分布はここだけであり、これに一番近い分布地は鹿児島県の馬毛島と、かなり隔離された位置にある。 この地にはオオコウモリ類が分布せず、ニホンザルとテンが花粉媒介に預かるのが確認されたのは2014年であるが、不思議なことに、1970年代後半まで、この地域のこの植物は開花するにもかかわらず、結実が確認されなかった。つまりそれまでは花粉媒介動物がいなかった可能性がある。現時点での花粉媒介においては、ニホンザルの力が大きく、テンの影響は大きくない。とすれば、この時期まではニホンザルは花粉媒介に関わっていなかったと思われる。この点について、この種の分布域としてこの地が特異であることも含めて考える必要がある。たとえば本種のこの地の分布がごく最近になって成立した、つまり最近の移入種であれば、在来の花粉媒介者がいないのもうなずける。 しかしながら本種の生育地域の地名は葛原浦と言い、この地名の由来が本種であるとされており、このことは本種の分布が少なくとも江戸時代まで遡れることを示す。つまり本種が侵入して間もないために結実できなかった可能性はまずない。小林らはこの変化が拡大造林の結果、ニホンザルの行動域が変化し、本種の生育地域にニホンザルが来る、それも開花時期に来るようになったのがこの年代なのではないかと論じている。
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