脳科学と欲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/03 06:08 UTC 版)
科学的根拠については十分とは言えないものの、欲求を脳科学の見地から解明する研究も進められていて、低次な欲求ほど主に大脳辺縁系などの旧皮質の影響を受け、高次な欲求ほど主に前頭連合野などの新皮質の影響を受けやすいとされている。主な欲求を分類すると以下のようになる。 生理的欲求 安全安心の欲求 愛情や所属の欲求(集団欲・序列欲) 人から認められたいといった欲求 理想とする自分になりたいという自己実現の欲求 これらの多様な欲求を段階的・並行的に過不足なく(場合によっては適度な過不足状態を前提にしつつ)満たしていくことが心身の健康を維持する上では、大切である。 こういった欲求レベルには、個人差がありその基本的な欲求が強いほどそれに相応した理性的能力(大脳新皮質の前頭連合野など)も発達しやすい傾向があり、また向上心や進歩の原動力となりうるものでもある。低次の欲求をコントロールしたりする理性に関わる前頭連合野は、最初は空っぽのハードウェアのようなものであり、しつけ・社会のルール・教育などの後天的な学習作用によって脳神経細胞(ニューロン)のネットワークを形成し理性的コントロール能力をつけていく。 また、より低次元な欲求が上手く満たされずに過剰な欲求不満状態(ストレス)となった場合に、前頭連合野における理性的コントロール能力を超えてしまい、神経症や犯罪・いじめ等の問題行動を引き起こしやすい状態となることも知られている。
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