聖船と世界規範
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/17 02:13 UTC 版)
ある日イシュタルは盛装してエンキムドゥに会いに行ったが、めかし込んだ姿に我ながら魅了され、エリドゥに住むエアの神殿「エアブズ」を訪ね、彼を口説きに行こうと歩み始める。イシュタルはエアとその従神イシム(英語版)らに歓迎されると、競うように酒を飲み重ねた。イシュタルは酒により調子が良くなったエアから、「メ」と呼ばれる権力の全てを与えられる。「メ」を受け取ったイシュタルは天の舟「マアンナ」にそれらを積み、意気揚々とウルクへ帰るべく出航した。やがて酔いが冷め「メ」の数々をイシュタルにやってしまったことに気付いたエアは、「メ」を取り戻すべくイシュタルのもとにイシムと怪物を遣わし追跡するが、イシュタルはこれを逃れ最後までエアの「メ」を持ったままウルクへ帰ることに成功した。エアは「なかなかやるものだ。褒め称えてやらねばな」と言ってその結末を受け入れた。 「メ」というのは「太古から神々によって定められた規範」を意味し、シュメール社会における掟のようなものの総称である。「メ」の内容は神官・武器・玉座などの具体的なものから、売春・精神・歌のような、文化や娯楽といった抽象的なものも指す。
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