耐食性チタン合金
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/12/09 14:32 UTC 版)
チタンの最も優れた特徴の一つとして、極めて優れた耐腐食性がある。チタン自体は活性金属だが、チタン表面に不動態皮膜が形成・保持されるため、チタン本体は腐食から保護される。耐食用材料にはチタン合金よりも工業用純チタンが使用されることが多いが、チタンは塩酸や硫酸といった非酸化性の酸には腐食される。こうした環境に対しても耐食性を向上させるために、パラジウム、ルテニウム、白金、モリブデン、ニッケルといった元素を添加する。このように耐食性に有効な元素を添加して耐食性能を高めたチタン合金を「耐食性チタン合金」、単に「耐食合金」と呼ぶ。例としては、パラジウムを 0.15 % 添加した Ti-0.15Pd 合金などがある。 耐食性チタン合金は、強度面においては工業用純チタンとほぼ同じである。組織は α 相と、いくらかの β 相や化合物相を持つ。そのため、金属組織上の分類は α 型合金あるいは α+β 型合金に該当する。 チタン合金と機械的性質の例種類組成熱処理引張強さ (MPa)伸び (%)出典α 型合金 Ti-5Al-2.5Sn 焼なまし 862 16 near α 型合金 Ti-8Al-1Mo-1V 焼なまし 1000 15 α+β 型合金 Ti-3Al-2.5V 焼なまし 686 20 Ti-6Al-4V 焼なまし 980 14 溶体化時効 1170 10 Ti-6Al-4V-2Sn 溶体化時効 1270 10 near β 型合金 Ti-6Al-2Sn-4Zr-6Mo 溶体化時効 1274 10 β 型合金 Ti-13V-11Cr-3Al 溶体化時効 1220 8 Ti-3Al-8V-6Cr-4Mo-4Zr 溶体化時効 1440 7 耐食性チタン合金 Ti-0.15Pd 焼なまし 343 23
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