翻訳後のプロセシング
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/31 04:28 UTC 版)
「アミロイド前駆体タンパク質」の記事における「翻訳後のプロセシング」の解説
APPは、グリコシル化、リン酸化、シアル酸化、チロシン硫酸化を含む広範囲の翻訳後修飾を受けるとともに、多くのタイプのタンパク質分解によるプロセシングによってペプチド断片が作り出される。一般的に切断はセクレターゼ(英語版)ファミリーのプロテアーゼによって行われ、α-セクレターゼとβ-セクレターゼはともに細胞外ドメインをほぼ完全に切除する。その結果、アポトーシスと関係している可能性のある、膜に固定されたC末端フラグメントが生じる。β-セクレターゼによる切断後、γ-セクレターゼによって膜貫通ドメイン内で切断されることでAβフラグメントが形成される。γ-セクレターゼは複数のサブユニットからなる巨大複合体であり、その構成要素は完全には特定されていないものの、アルツハイマー病の主要な遺伝性危険因子として同定されているプレセニリンが含まれている。 APPのアミロイド形成性プロセシングは脂質ラフトの存在と関係している。APP分子が膜の脂質ラフト領域に存在するときにはβ-セクレターゼがAPPにアクセスしやすくそのため切断を行いやすくなるが、APPが脂質ラフト外に存在するときには非アミロイド形成性のα-セクレターゼによって切断されやすい。γ-セクレターゼの活性も脂質ラフトと関係している。コレステロールに脂質ラフトを維持する役割があることは、高コレステロールとアポリポプロテインEの遺伝子型がアルツハイマー病の主要な危険因子であるという観察結果の説明となる。
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