習慣と癖
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/04 21:48 UTC 版)
一般に同じ状況下で繰り返される行動がその状況に適切な仕方で安定し、滞りなく進行することが習慣と呼ばれる。習慣は状況に適応するだけではなく、類似の状況に転移する積極的な意味を持つ一方、状況が実際には変化しても同じ行動を固執し、不適切な結果をきたすという消極的な意味を持つことがある。狭い意味では癖はこの後者を指すが、この場合は新しい行動の習得を妨げることになる。たとえば、ドアのハンドルを引いて開けることに慣れていると、押して開けねばならないときにも引く動作が先行する場合である。このような動作の固定はどのようにして習得されたかが、必ずしも明らかでないこともある。幼児の指しゃぶり、児童の夜尿症、成人の吃音、貧乏揺すり、赤面恐怖なども癖といわれるが、これらは適切な動作の固定とはみられない。これらの癖(悪癖ともいう)は成熟によって自然に消滅することもあるが、病的症状として強固に持続することもある。これらは常同反応(stereotype response)ともいわれ、欲求不満のもとに多く発生する。また、常同反応の禁止が欲求不満を引き起こすこともある。癖は単なる身体運動についてだけではなく、広く、食事や他人に対する嗜好、虚言、盗み、浮浪、偏見、先入見などにもいわれる。癖となった晩酌、食後の喫煙などは、これらを禁止することによって心的ストレスを発生させるし、生活の糧のためとは関係のない盗癖は、心的ストレスの結果ともみられる。
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