美流渡駅とは? わかりやすく解説

美流渡駅

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/10 15:00 UTC 版)

美流渡駅
駅構内に設置されている美流渡駅跡の石碑
みると
Miruto
朝日 (3.7 km)
(6.4 km) 万字
所在地 北海道岩見沢市栗沢町美流渡本町
所属事業者 日本国有鉄道(国鉄)
所属路線 万字線
キロ程 15.9 km(志文起点)
電報略号 ミル
駅構造 地上駅
ホーム 1面1線
開業年月日 1914年大正3年)11月11日[1]
廃止年月日 1985年昭和60年)4月1日[1]
備考 万字線廃線に伴い廃駅
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1976年の美流渡駅と周囲1km範囲。左が志文駅方面。右下隅へ真っ直ぐ敷かれているのが本線万字炭山方面で、本駅東の踏切から本線横の南側を直線的に並走した後、右下隅の少し手前から下へカーブして離れて行くのが、小道に転用されたかつての美流渡炭礦専用鉄道の軌道跡。国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成

美流渡駅(みるとえき)は、北海道空知郡栗沢町(現・岩見沢市栗沢町)美流渡本町にあった日本国有鉄道(国鉄)万字線廃駅)である。電報略号ミル事務管理コードは▲132003[2]

歴史

  • 1914年(大正3年)11月11日 - 国有鉄道万字軽便線志文駅 - 万字炭山駅間開通に伴い開業[3][4]一般駅[1]
  • 1920年(大正9年)12月26日 - 北海道炭礦汽船(後に北星炭礦に分社)美流渡礦専用鉄道運輸開始。
  • 1922年(大正11年)9月2日 - 線路名を万字線に改称、同線の駅となる[5]
  • 1928年(昭和3年)以前 - 当駅-奈良炭礦(後の東幌内炭礦)貯炭場間 約1里(約4 km)に762 mmの軽便軌道敷設。馬車及び機関車にて運炭[6]
  • 1963年(昭和38年)9月 - 駅舎改築。
  • 1967年(昭和42年)10月16日 - 北星炭礦美流渡礦専用鉄道廃止。
  • 1970年(昭和45年)8月17日 - 専用線発着車貨物以外の貨物取扱い廃止[1]
  • 1978年(昭和53年)5月1日 - 貨物取扱い廃止[1]
  • 時期不詳[注 1] - 業務委託化。
  • 1984年(昭和59年)2月1日 - 荷物取扱い廃止[1]
  • 1985年(昭和60年)4月1日 - 万字線の廃線に伴い廃止となる[1]

駅名の由来

駅所在地は開設当時「栗沢村字滝ノ上[9][注 2]」だったが、既に夕張線(→石勝線)に滝ノ上駅があったため対岸の地名だった「ミュルトマップ」の上部を採用し駅名とした[10][4]

「ミュルトマップ」の由来については1973年(昭和48年)に国鉄北海道総局が発行した『北海道 駅名の起源』ではアイヌ語由来としつつ「意味は不明[4]」としており、アイヌ語研究者の山田秀三も「ひどく訛った名であろう。このままでは解しようがない[11]」としている。

なお、元の名称について本多貢は「シㇽウトㇿオマㇷ゚(sir-utor-oma-p)」(山の・間に・ある・もの〔川〕)と解している[12]

駅構造

廃止時点で、単式ホーム1面1線を有する地上駅であった。ホームは線路の南側(万字炭山方面に向かって右手側)に存在した[8]転轍機を持たない棒線駅となっていた。かつては上志文駅と全く同じ千鳥状に離れた単式ホーム2面2線と駅裏側に副本線、駅舎横の志文側に貨物ホームと2本の引き込み線を有していた[13]

業務委託駅となっていた[8]。駅舎は構内の南側に位置しホーム西側に接していた[8]

当駅から上美流渡炭山(美流渡炭山)まで北星炭礦美流渡礦専用鉄道が分岐していた。同鉄道の乗降ホームはやや離れたところに設置されていた。

利用状況

  • 1981年度の1日乗降客数は83人[8]

駅周辺

バス路線

交通センター前にバスが発着する。停留所名は「美流渡交通センター」。

  • 岩見沢市 東部丘陵線コミュニティバス(2024年12月1日時点)[14]
    • 岩見沢駅 - 萩の山スキー場 - 朝日サービスセンター - 美流渡交通センター - 毛陽交流センター - 万字交通センター - 万字待合所
      • 平日:5往復、土休日および年末年始:4往復

駅跡

鉄道関連施設は廃線後に撤去され、跡地に美流渡交通センターが建築された。敷地内に駅名標をかたどった「国鉄万字線美流渡駅跡」の石碑とモニュメントとして2個の踏切警報機車止めが設置されている[15][16]。碑文の内容は以下の通り[16]

大正三年十一月十一日、室蘭線志文駅より分岐する万字線(志文~万字炭山間)が開通し、美流渡駅が開設される。日本国有鉄道経営再建促進特別措置法に基づいて、昭和六十年三月三十一日で廃止となり、七十余年の歴史を閉じるにあたり、万字線の果たした役割を後世に残すため建立するものである。 — 昭和六十年十一月三十日 栗沢町長 中山稔

万字線鉄道資料館

1985年(昭和60年)、栗沢町(当時)により美流渡交通センター2階に「万字線鉄道資料館」が設置され、備品、乗車券類などの万字線関連資料や写真が展示されていたが[15][17]、2021年(令和3年)11月19日に展示を終了した[18]

なお、1985年(昭和60年)に岩見沢市により少し離れた奈良町公民館の一角に「万字線鉄道資料館」が開設され、鉄道の関係資料やプレート、車両部品・工具類、制服・制帽などが展示されていたが[19][17][20]、施設や設備の老朽化を理由に、2021年(令和3年)3月8日をもって休館、7月1日に閉館した[21]。両施設閉館後の資料は朝日コミュニティ交流センターに移設・集約され、2022年(令和4年)4月1日に新設された旧国鉄万字線鉄道資料展示室に展示されている[22]

隣の駅

日本国有鉄道
万字線
朝日駅 - 美流渡駅 - 万字駅
北星炭礦
北星炭礦美流渡礦専用鉄道
美流渡駅 - 桜駅

脚注

注釈

  1. ^ 1981年(昭和56年)4月時点では直営駅[7]、1983年(昭和58年)7月時点では業務委託駅であった[8]
  2. ^ 当地付近の幌向川にある滝に由来。

出典

  1. ^ a b c d e f g 石野哲 編『停車場変遷大事典 国鉄・JR編 II』(初版)JTB、1998年10月1日、860-861頁。ISBN 9784533029806全国書誌番号: 99032190 
  2. ^ 日本国有鉄道営業局総務課 編「万字線 志文・万字炭山間」『停車場一覧 昭和41年3月現在』日本国有鉄道、1966年、227頁。doi:10.11501/1873236全国書誌番号: 67009669https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1873236/1342022年12月10日閲覧 
  3. ^ 「鉄道院告示第102号」『官報』第678号、1914年11月04日国立国会図書館デジタルコレクション
  4. ^ a b c 「万字線」『北海道 駅名の起源』(1版)日本国有鉄道北海道総局、札幌市、1973年3月25日、86頁。全国書誌番号: 70018947 
  5. ^ 「鉄道省告示第109号」『官報』第3027号、1922年9月2日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  6. ^ 『栗沢町史』栗沢町役場、1964年12月、1015頁。 。時期不詳だが当駅裏に選炭場及びホッパーを設置。
  7. ^ 『国鉄駅名全百科』(56.4訂補版)小学館〈コロタン文庫36〉、1981年10月、49頁。国立国会図書館書誌ID: 000011109189 
  8. ^ a b c d e 宮脇俊三原田勝正 編「万字線」『国鉄全線各駅停車1 北海道690駅』小学館、1983年7月、70頁。全国書誌番号: 83046320 
  9. ^ 万字線建設概要』鉄道院北海道建設事務所、1914年11月1日。doi:10.11501/944865全国書誌番号: 43013518https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/944865/19 
  10. ^ 札幌鉄道局 編「萬字線」『駅名の起源』北彊民族研究会、1939年5月15日、44-45頁。doi:10.11501/1029473全国書誌番号: 44011059https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1029473/32 
  11. ^ 山田秀三『北海道の地名』(2版)草風館、浦安市〈アイヌ語地名の研究 山田秀三著作集 別巻〉、2018年11月30日、43頁。 ISBN 978-4-88323-114-0 
  12. ^ 本多貢 著、児玉芳明 編『北海道地名漢字解』北海道新聞社、札幌市、1995年1月25日、88頁。 ISBN 4893637606OCLC 40491505全国書誌番号: 95070631 
  13. ^ 『鉄路とともに : 国鉄万字線史』岩見沢市・栗沢町、1986年2月、137頁。doi:10.11501/12065959全国書誌番号: 86049457 
  14. ^ 東部丘陵線コミュニティバス ご利用ガイド”. 岩見沢市地域公共交通活性化協議会. 2025年6月5日閲覧。
  15. ^ a b 白川淳 著、日本鉄道保存協会 監修『全国保存鉄道III 東日本編』JTBパブリッシング〈JTBキャンブックス〉、1998年11月、30頁。全国書誌番号: 99033245 
  16. ^ a b 郷土資料「岩見沢市各種記念碑等」研究調査実行委員会 編「1.記念碑・顕彰碑など 先人の労苦を偲ぶ」『岩見沢の記念碑』(PDF)岩見沢市教育委員会、37頁https://www.city.iwamizawa.hokkaido.jp/material/files/group/49/content_20200917_092407.pdf#page=382022年1月29日閲覧 
  17. ^ a b 国鉄「万字線」(志文-万字炭山)廃止34年の今を訪ねて”. 北海道ファンマガジン (2019年11月11日). 2025年6月5日閲覧。
  18. ^ 美流渡交通センター” (2022年4月1日). 2025年6月5日閲覧。
  19. ^ 白川淳 著、日本鉄道保存協会 監修『全国保存鉄道III 東日本編』JTBパブリッシング〈JTBキャンブックス〉、1998年11月、31頁。全国書誌番号: 99033245 
  20. ^ そらち炭鉱(やま)の記憶をめぐる_万字線鉄道資料館”. 空知総合振興局. 2024年7月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年6月5日閲覧。
  21. ^ 万字線鉄道記念館”. 岩見沢市 (2021年7月1日). 2021年7月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年6月5日閲覧。
  22. ^ 岩見沢市役所 広報さんの投稿 - Facebook

関連項目





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