置塩の定理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 09:59 UTC 版)
「利潤率の傾向的低下の法則」の記事における「置塩の定理」の解説
置塩信雄はマルクスが展開した「利潤率の傾向的低下法則」の論証が成立しないことを示すために、「実質賃金率を一定とするとき、新技術の導入によって均衡利潤率が低下することはない」ことを示した。これは「置塩の定理」と呼ばれている。 後に根岸隆が同様の観点からマルクスの傾向法則を検討した。根岸は、マルクスの論証に対する置塩の批判を支持したが、資本主義経済における「利潤率の傾向的低下」を検討するには、従来とはことなる新しい分析枠組みによるべきだとした。柴田や置塩の分析は、ワルラスを中心とするローザンヌ学派の枠組みで行なわれているが、マルクスはそのような枠組みでなく、規模の経済と不完全競争の行なわれる資本家的競争を想定していた。そのため、マルクスの正しい批判のためには、規模の経済の扱えるクルノーの寡占理論あるいはチェンバレンの独占競争の理論によるべきである。 利潤率の傾向的低下法則の「論証」に関する置塩の批判は、通常、「置塩の定理」によると理解されているが、置塩自身が語るように、マルクス=カウツキー=富塚の論証の誤りは、資本の有機的構成が無限に上昇するとの仮定に基づいているが、「資本の有機的構成」が変化するのは、自然法則のようなものではなく、産業資本家の選択の結果であり、資本家がより有利な技術を選択するかぎり、資本の有機的構成が無限に上昇することはありえないということの注意にあった
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