線虫捕食菌の分離培養
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/26 08:34 UTC 版)
当然ながら、線虫捕食菌は、線虫が多く生息する環境を好むと思われる。ただし、線虫は、土壌中ではどこにでも多数生息するものでもある。しかし、土壌中の菌類を観察するためには、分離培養を行う必要があり、培養器内で線虫が多数活動するようにしなければならない。したがって、希釈平板法(土壌懸濁液を培地表面に塗り広げて培養する)などは不向きで、直接接種法(培地表面に、微量の土壌塊などをそのままおいて培養する)などがよい。また、線虫寄生菌をも含め、これらの菌群をより多く出現させる方法として、線虫の中から培養が容易な種を選んであらかじめ培養しておき、その培養液を分離培地として、ここに土壌などの分離源を接種する方法もしばしば試みられる。 担子菌門や不完全菌に属する線虫捕食菌は、線虫を含まない通常の培地上でも培養が可能な種がいくつも知られているが、線虫がいない場合は線虫捕獲器を形成しない場合が多い。どのような刺激によって捕獲器を形成するのかが研究されている。 接合菌門のものについては、人工培養の成功例自体がほとんど知られていない状態であり、そもそも、胞子の発芽すら簡単には確認できない。種によっては、線虫の存在下では胞子が発芽しやすいとの報告もある。胞子の発芽や菌糸生育に要する条件を含め、今後の研究が待たれるところである。 線虫には自由生活を営むものも少なくないが、植物寄生性あるいは病原性の種も多く、それらに対する防御の必要などとも絡んで、実用的価値も期待できる分野である。
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