結 (仏教)とは? わかりやすく解説

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結 (仏教)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/23 16:48 UTC 版)

仏教用語
パーリ語 saṃyojana
中国語 結, 結使, 結纏
日本語
(ローマ字: Ketsu)
英語 Fetter, chain, bond
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仏教において(けつ、: saṃyojana, サンヨージャナ)とは、衆生輪廻に縛り付ける「束縛」としての煩悩のこと[1]。結のため、人は苦しみに満ちた生を繰り返すこととなる。

パーリ仏典

五を断ち(五下分結)、五を棄て(五上分結)、更に五を修せよ(五根)、
五著(貪・瞋・癡・慢・見)を越えたる比丘は、暴流を渡りたる人と言はれる。

ダンマパダ 第24章 比丘の章 370

パーリ仏典経蔵では、以下の十結が挙げられている[2]

五下分結・三結

衆生を欲界(下分)へと縛り付ける結を、五下分結(ごげぶんけつ; : orambhāgiya-saṃyojana)と呼ぶ。

  1. 有身見(うしんけん; : sakkāya-diṭṭhi) - 五蘊自己とみなす見解[1]
  2. (ぎ; : vicikicchā) - 疑い
  3. 戒禁取(かいごんしゅ; : sīlabbata-parāmāsa) - 誤った戒律・禁制への執着
  4. 欲愛(よくあい; : kāmacchando)- 五欲に対する欲望・執着
  5. 瞋恚(しんに; : vyāpādo) - 怒り

この5つを絶つことで、不還果へと到達できる[3][4]

この5つの内、1-3の3つを特に三結(さんけつ)と呼び、これらは四向四果の最初の段階である預流果において絶たれる。

五上分結

衆生を色界無色界(上分)へと縛り付ける結を、五上分結(ごじょうぶんけつ; : uddhambhāgiya-saṃyojana)と呼ぶ。

  1. 色貪(しきとん; : rūpa-rāga) - 色界に対する欲望・執着
  2. 無色貪(むしきとん; : arūpa-rāga) - 無色界に対する欲望・執着
  3. (まん; : māna) - 慢心
  4. 掉挙(じょうこ; : uddhacca) - (色界・無色界における)心の浮動
  5. 無明(むみょう; : avijjā) - 根本の無知

この5つを絶つことで、四向四果の最終段階である阿羅漢果へと到達できる[3][4]

論蔵における十結

以下が論(アビダンマ)の分類法(: abhidhamma-naya)における「結」である。[1]

  1. 貪欲(とんよく; : kāma-rāga
  2. 瞋恚(しんに; : paṭigha
  3. (まん; : māna
  4. (けん; : diṭṭhi) - まちがった見解
  5. (ぎ; : vicikicchā
  6. 戒禁取(かいごんしゅ; : sīlabbata-parāmāsa
  7. 有貪(うとん; : bhavarāga) - 存在することへの執着
  8. (しつ; : issā) - ねたみ、嫉妬
  9. (けん; : macchariya) - けち、物惜しみ
  10. 無明(むみょう; : avijjā

脚注

  1. ^ a b c P.A.パユットー 著、野中耕一 訳『ポー・オー・パユットー 仏教辞典(仏法篇)』、2012年2月、サンガ、p.202-203
  2. ^ These fetters are enumerated, for instance, in SN 45.179 and 45.180 (Bodhi, 2000, pp. 1565-66). This article's Pali words and English translations for the ten fetters are based on Rhys Davids & Stede (1921-25), p. 656, "Saŋyojana" entry (retrieved 2008-04-09).
  3. ^ a b 悟りの階梯 - 藤本晃/日本テーラワーダ仏教協会
  4. ^ a b パオ森林僧院における教えと修行 日本語訳 pp33-34 [リンク切れ]

関連項目



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