結晶多形と製品回収
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/14 14:20 UTC 版)
リトナビルは発売当初は冷蔵を必要としないカプセル剤であった。この製剤の結晶は現在はI形と呼ばれている。しかし、他の多くの医薬品と同様に、リトナビルにも結晶多形が存在する。異なる結晶形は溶解性が異なり、従って生物学的利用能も異なる。 開発中にはI形のみが知られていたが、1998年、より自由エネルギーが低くより安定なII形が発見された。II形は安定性が高いがゆえに溶解性が低く、生物学的利用能の観点からは好ましくない。そのため、市場から経口カプセル剤が回収された。痕跡量のII形結晶が混入しただけでI形結晶からII形への転換が起こる。II形結晶は溶解性が低く、服用しても治療に必要な濃度に到達しないのでII形は混入してはならないが、混入が避けられず生産工程が滞った。 1990年代末には、この解決策が見つかるまでの間カプセル剤から内用液への切り替えが行われ、その後要冷蔵のゲルカプセル剤とする事で当面の決着を見た。2000年には冷蔵不要の錠剤(ロピナビルとの合剤)が承認された。リトナビル単剤では、フィルムコーティング錠が2010年2月に承認された:1。 日本でも1997年の承認取得時は硬カプセル剤であったため、1998年8月に液剤を承認申請し、同年9月に承認された。それに続いて1999年8月にソフトカプセル剤の承認を取得したが、2011年2月にフィルムコーティング錠の承認を取得し、2012年5月末日付でソフトカプセル剤の承認を整理した:1。
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