経路積分での導出
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/29 15:16 UTC 版)
「ウォード=高橋恒等式」の記事における「経路積分での導出」の解説
「経路積分の定式化でのウォード=高橋恒等式(英語版記事)」も参照 経路積分の定式化において、ウォード=高橋恒等式は、ゲージ変換の下での汎函数測度の不変量の反映である。詳しく言うと、 δ ϵ {\displaystyle \delta _{\epsilon }} で ε によるゲージ変換を表すと(加えて、ε を系の物理的対称性が大域的である場合や大域的対称性が存在しない場合でも、汎函数測度の不変性についてのみ心配するだけでよい)、 ∫ δ ϵ ( F e i S ) D ϕ = 0 {\displaystyle \int \delta _{\epsilon }\left({\mathcal {F}}e^{iS}\right){\mathcal {D}}\phi =0} は、汎函数測度の不変性を表す。ここに S は作用であり、 F {\displaystyle {\mathcal {F}}} は量子場の汎函数である。ゲージ変換が理論の大域的対称性に対応すると、(場 φ の汎函数として)あるカレント(英語版)(current) J に対し、曲面項(英語版)(surface term)を無視することを仮定した部分積分により、 δ ϵ S = ∫ ( ∂ μ ϵ ) J μ d d x = − ∫ ϵ ∂ μ J μ d d x {\displaystyle \delta _{\epsilon }S=\int \left(\partial _{\mu }\epsilon \right)J^{\mu }\mathrm {d} ^{d}x=-\int \epsilon \partial _{\mu }J^{\mu }\mathrm {d} ^{d}x} となる。 すると、ウォード=高橋恒等式は、 ⟨ δ ϵ F ⟩ − i ∫ ϵ ⟨ F ∂ μ J μ ⟩ d d x = 0 {\displaystyle \langle \delta _{\epsilon }{\mathcal {F}}\rangle -i\int \epsilon \langle {\mathcal {F}}\partial _{\mu }J^{\mu }\rangle \mathrm {d} ^{d}x=0} となる。この等式のネーターの連続方程式の QFT における類似物は ∂ μ J μ = 0 {\displaystyle \partial _{\mu }J^{\mu }=0} である。 ゲージ変換が実際のゲージ対称性に対応すると、 ∫ δ ϵ ( F e i ( S + S g f ) ) D ϕ = 0 {\displaystyle \int \delta _{\epsilon }\left({\mathcal {F}}e^{i\left(S+S_{gf}\right)}\right){\mathcal {D}}\phi =0} となる。ここに S はゲージ不変は作用であり、Sgf はゲージ不変ではないゲージ固定(英語版)(gauge fixing)項である。 しかし、たとえ大域的対称性が存在しない(対称性が破れている)場合でも、ウォード=高橋恒等式はチャージの非保存の率を記述する。 汎函数測度がゲージ不変でないが、λ を場 φ の汎函数としたときには ∫ δ ϵ ( F e i S ) D ϕ = ∫ ϵ λ F e i S d d x {\displaystyle \int \delta _{\epsilon }\left({\mathcal {F}}e^{iS}\right){\mathcal {D}}\phi =\int \epsilon \lambda {\mathcal {F}}e^{iS}\mathrm {d} ^{d}x} を満すとすると、アノマリーウォード=高橋恒等式を得る。このことの例はカイラルアノマリー(英語版)(chiral anomaly)がある場合である。
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