移行とペプチドのローディング
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/10 07:31 UTC 版)
「MHCクラスI分子」の記事における「移行とペプチドのローディング」の解説
ペプチドの細胞質から小胞体内腔への移行は、TAP(英語版)(transporter associated with antigen processing)と呼ばれるトランスポーターによって行われる。TAPはABCトランスポーターファミリーのメンバーであり、TAP1(英語版)とTAP2(英語版)からなるヘテロ二量体型複数回膜貫通タンパク質である。2つのサブユニットは細胞質側にペプチド結合部位と2つのATP結合部位を形成する。TAPは細胞質側でペプチドに結合し、ATPを消費してそれらを小胞体内腔へ転移する。その後、小胞体内腔でMHCクラスI分子にペプチドがロードされる。 ペプチドのローディング過程には、ペプチドローディング複合体(英語版)(PLC)と呼ばれる巨大な複合体を形成するいくつかの分子が関与する。PLCはTAP、タパシン(英語版)、カルレティキュリン(英語版)、カルネキシン(英語版)、Erp57(PDIA3(英語版))から構成される。カルネキシンはB2Mの結合前にMHCクラスI分子のα鎖を安定化する。MHCクラスI分子の完全な組み立ての後、カルネキシンは解離する。ペプチドが結合していないMHC分子は不安定であり、シャペロンであるカルレティキュリンやErp57の結合を必要とする。さらにタパシンはMHC分子に結合してTAPタンパク質とつなぎ、peptide editingと呼ばれるペプチド選択の繰り返し過程を促進する。 ペプチドがMHCクラスI分子にロードされると複合体は解離し、小胞体から分泌経路を経由して細胞表面へ移動する。MHCクラスI分子の分泌経路を経由した輸送過程は、MHCクラスI分子の翻訳後修飾を伴う。翻訳後修飾の一部は小胞体内で起こり、タンパク質のN-グリカン領域の変化を伴う。その後、ゴルジ体でN-グリカンの広範囲の変化が行われ、細胞表面に到達する前に完全な成熟が行われる。
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