科学的研究による知見
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/10 02:30 UTC 版)
速読術に関係する科学的研究は、NBS日本速読教育連盟の受講生を被験者として、専門家によって共同研究が行われ、多くの論文が発表されている。速読力(1万字/分以上)を身につけた人が速読をしているときの脳活動を、脳波計(EEG)や機能的核磁気共鳴画像法(fM R I)、近赤外線分光法(NIRS; 光トポグラフィー)などの脳機能計測法を用いて測定した研究、速読中の文章理解や眼球運動を検討した研究、空間的注意を検討する視覚探索課題などの行動課題による研究、速読訓練とマインドフルネスや心理的健康との関連を調べた研究などがなされている。最終的な結論を提示するには、さらなる研究が待たれるが、現在おおよそ、次のような結果が得られている。⑴ 読書能力はトレーニングによって向上する。高度に熟達した速読者では、理解を伴った高速での読みができている事例が示されている。⑵ 速読時には脳の音韻的処理(音声化)に関係する部位(ブローカ野、ウェルニッケ野)の活動は低下する。⑶ 有効視野は、トレーニングによって拡大する。⑷ 速読時には右脳頭頂葉の空間認識領域(右頭頂間溝)が活性化している。⑸ 速読の読みには、視覚野や左脳の読書書字中枢(角回)、右脳の空間認識野、さらには視覚野(イメージ中枢)などが関係する新たな理解の脳神経回路が使われていると想定される。⑹ 速読時は、前頭葉の活動から見て、集中力が高まっている。⑺ 速読能力をトレーニングしている人では、していない人よりマインドフルネス傾向(観察・気づき・受容)や主観的幸福感、ポジティブな気分などは高く、抑うつ傾向は低い。⑻ 速読の訓練期間が長く熟達レベルが高いほど、マインドフルネス傾向や主観的幸福感が高い。
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