私のお父さんとは? わかりやすく解説

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私のお父さん

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 03:49 UTC 版)

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フランシス・アルダ英語版による1919年の歌唱。

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私のお父さん」(わたしのおとうさん、イタリア語: O mio babbino caro)は、ジャコモ・プッチーニが作曲し、ジョヴァッキーノ・フォルツァーノリブレット(オペラ台本)を書いた1918年初演のオペラジャンニ・スキッキ』の中で、ソプラノが歌うアリア。比較的短いアリアであるため、アリエッタ (arietta) として言及されることもある[1]

ラウレッタの父スキッキと、彼女が想いを寄せる青年リヌッチョの家族との緊張が高まり、彼女とリヌッチョの仲が引き裂かれそうになったところで、ラウレッタが歌う曲である。中世フィレンツェの偽善、嫉妬、裏切り、争いといった雰囲気とはまったく対称的に、素朴な情感と愛が詩情をもって歌われる。通作形式によるこのオペラ作品の中でも、一番の聴かせどころとなっている定番曲である。『ジャンニ・スキッキ』の中でも最も広く知られた曲である[1]

日本語では、「わたしのお父さん[2]」、「私のお父様[3]」、「わたしのいとしいお父さん[2]」、「私のやさしいお父さん[4]」、「わたしの優しいお父さん[5]」、「オオ・ミオ・バッビーノ・カーロ[3]」、「オ・ミオ・バッビーノ・カロ[6]」などの曲名で言及されることがある。

おもな演奏、録音

1918年12月14日、『ジャンニ・スキッキ』の世界初演でラウレッタを演じたフローレンス・イーストン。

このアリアを公演で最初に披露したのは、1918年12月14日ニューヨークメトロポリタン歌劇場における『ジャンニ・スキッキ』の世界初演に出演したフローレンス・イーストン英語版[7]、彼女はその少し前の時期にあたるエドワード朝イングランドで人気の高いソプラノ歌手だった。以降、多数のソプラノ歌手がこの曲を歌っている。

イギリスのソプラノ歌手、デイムジョーン・ハモンド英語版が英語の歌詞で「O My Beloved Daddy」として歌ったバージョンは、78回転盤(SP盤)の時代から45回転盤シングルの時代にかけて長く流通した[8]。彼女は、この曲のレコードを百万枚以上売り上げたとして1969年ゴールドディスクを獲得した[9]

このアリアは、ポピュラー音楽クロスオーバーの歌手たちもしばしばコンサートで取り上げ、リサイタルのアンコールなどで歌っている。

マルコム・マクラーレンは、オペラの楽曲のリミックスを集めた1984年のアルバム『ファンズ (Fans)』に、この曲をもとにしたトラック「Lauretta」を収録した[10]

音楽

{ \new Staff \with { \remove "Time_signature_engraver" } \key aes \major es'^"Range" \glissando aes'' }

この短いアリアは、32小節から成り、2分あまり[1]、ないしは、2分半から3分ほどで演奏される。変イ長調、8分の6拍子で書かれており、速度記号は「andantino ingenuo」 ( = 120) となっている。声域は、E4からA5を要し、テッシトゥーラは F4からA5の範囲である。オーケストラによる5小節の前奏は変ホ長調、4分の3拍子で、ストリングスによるオクターブトレモロで構成されている。オペラの作中では、この5小節は、リヌッチョとのやり取りの後で、ジャンニ・スキッキの台詞が徐々に弱まっていくところにかかる。リサイタルなどで単独の曲として演奏される場合の編曲では、主題となる旋律の提示で始まることが多い。伴奏にはストリングスに加え、アルペッジョを奏でるハープが用いられる。

歌詞

イタリア語 原詞 大意

O mio babbino caro,
mi piace, è bello, bello,
Vo'andare in Porta Rossa
a comperar l'anello!

Sì, sì, ci voglio andare!
E se l'amassi indarno,
andrei sul Ponte Vecchio,
ma per buttarmi in Arno!

Mi struggo e mi tormento!
O Dio, vorrei morir!
Babbo, pietà, pietà!
Babbo, pietà, pietà!

ああ、私の愛しいお父さん
私は彼を愛しているの、彼は素敵、素敵
ポルタ・ロッサへ行きたいの
指輪を買いに

そうよ、そうなの、私は行きたい
そしてもし、彼への愛が無駄になったら
私はヴェッキオ橋に行って
アルノ川に身を投げてしまいたい

私は苦しんで、耐えてきたの
ああ、神様、私は死にたい
お父さん、許して、許して
お父さん、許して、許して

脚注

  1. ^ a b c 志賀泰子「オペラ「ジャンニ・スキッキ」について」『神戸山手短期大学紀要』第47号、2004年、 168頁、 NAID 110004706240。“もちろん余りにも有名なラウレッタの「O mio babbino caro」(私のお父さん)があるが2分程度の短いアリエッタである。”
  2. ^ a b 大阪市立中央図書館 (2010年12月13日). “プッチーニのオペラ「ジャンニ・スキッキ」の中の曲「わたしのお父さん」の歌詞が、原語と日本語訳の両方で掲載されている本が見たい。”. レファレンス協同データベース / 国立国会図書館. 2020年9月27日閲覧。
  3. ^ a b 「私のお父様」O mio babbino caro プッチーニ 作曲”. マンドリンアンサンブル ヴォールテンペリーレン. 2020年9月27日閲覧。
  4. ^ [吹奏楽-輸入楽譜] 私のやさしいお父さん (プッチーニ, G / arr. ヴィンソン, J) O Mio Babbino Caro”. フォスターミュージック. 2020年9月27日閲覧。
  5. ^ 歌劇「ジャンニ・スキッキ」より、わたしの優しいお父さん”. ミュージックストア・ジェイ・ピー. 2020年9月27日閲覧。
  6. ^ メールマガジン 2005年3月 (2005年3月17日)”. 東京国立博物館. 2020年9月27日閲覧。
  7. ^ Gianni Schicchi: Performance History”. Opera Glass / Stanford University. 2020年9月27日閲覧。
  8. ^ Joan Hammond – La Tosca - Discogs (発売一覧)
  9. ^ Hammond, Joan (1970). A Voice, a Life. Victor Gollancz. p. 238. ISBN 0-575-00503-3 
  10. ^ Malcolm McLaren – Fans - Discogs

外部リンク


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