神道の祭祀における顕斎
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/28 01:28 UTC 版)
神道の祭祀、その中でも特に、大嘗祭、神嘗祭、新嘗祭など稲魂にまつわる祭祀においては、祭主を神に見立てる事例がある。 大嘗祭は、天皇が皇位継承の直後に行われる一代に一度の大祭である。ここでは祭主である天皇が天孫降臨時のニニギノミコトに見立てられ、高天原において天照大神ら天の神々に稲魂を自ら捧げ、これを聞し召す(自ら食する)。この祭祀により、天孫降臨に際してニニギノミコトが授けられた「斎庭の稲穂の神勅」の場面を再現し、天照大神から授けられた天皇霊(稲魂)が新帝に受け継がれる。 新嘗祭は、大嘗祭と類似の祭祀が毎年宮中で行われる。天皇はその年の新穀を聞し召すことにより、大嘗祭で得た天皇霊が毎年更新され続ける。 神嘗祭は、新嘗祭に先立ち天皇が伊勢神宮に祀られる天照大神に新穀を先んじて納める神宮祭祀であり、天皇にかわり斎王が祭主として奉仕する。 これらの祭祀の形態と、日本書紀における神武天皇の顕斎は、祭主が神となって新穀を聞し召したというロジックは共通している。以上から、神武天皇が粮を嘗することによって天皇霊を獲得し、これが日本建国につながったと考えられ、大嘗祭の祭祀の形態がさかのぼることによって顕斎伝説が生み出されたのではないかと考えられる。
※この「神道の祭祀における顕斎」の解説は、「顕斎」の解説の一部です。
「神道の祭祀における顕斎」を含む「顕斎」の記事については、「顕斎」の概要を参照ください。
- 神道の祭祀における顕斎のページへのリンク