直角三角形によるもの
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 10:17 UTC 版)
直角三角形において、1 つの鋭角の大きさが決まれば、三角形の内角の和は 180°であることから他の 1 つの鋭角の大きさも決まり、3 辺の比も決まる。ゆえに、角度に対して辺比(三角比)の値を与える関数を考えることができる。 ∠C を直角とする直角三角形 ABC において、それぞれの辺の長さを AB = h, BC = a, CA = b と表す(図を参照)。∠A = θ に対して三角形の辺の比 h : a : b が決まることから、 sin θ = a h sec θ = h b = 1 cos θ tan θ = a b = sin θ cos θ cos θ = b h cosec θ = csc θ = h a = 1 sin θ cot θ = b a = 1 tan θ {\displaystyle {\begin{aligned}\sin \theta &={\frac {a}{h}}\\\sec \theta &={\frac {h}{b}}={\frac {1}{\cos \theta }}\\\tan \theta &={\frac {a}{b}}={\frac {\sin \theta }{\cos \theta }}\\\cos \theta &={\frac {b}{h}}\\\operatorname {cosec} \theta &=\csc \theta ={\frac {h}{a}}={\frac {1}{\sin \theta }}\\\cot \theta &={\frac {b}{a}}={\frac {1}{\tan \theta }}\end{aligned}}} という 6 つの値が定まる。それぞれ正弦(sine; サイン)、正割(secant; セカント)、正接(tangent; タンジェント)、余弦(cosine; コサイン)、余割(cosecant; コセカント)、余接(cotangent; コタンジェント)と呼び、まとめて三角比と呼ばれる。ただし cosec は長いので csc と略記することも多い。ある角 ∠A に対する余弦、余割、余接はその角 ∠A の余角 (co-angle) に対する正弦、正割、正接として定義される。 cos θ = sin ( 90 ∘ − θ ) = sin ( π 2 − θ ) csc θ = sec ( 90 ∘ − θ ) = sec ( π 2 − θ ) cot θ = tan ( 90 ∘ − θ ) = tan ( π 2 − θ ) {\displaystyle {\begin{aligned}\cos \theta &=\sin \left(90^{\circ }-\theta \right)=\sin \left({\frac {\pi }{2}}-\theta \right)\\\csc \theta &=\sec \left(90^{\circ }-\theta \right)=\sec \left({\frac {\pi }{2}}-\theta \right)\\\cot \theta &=\tan \left(90^{\circ }-\theta \right)=\tan \left({\frac {\pi }{2}}-\theta \right)\end{aligned}}} 三角比は平面三角法に用いられ、巨大な物の大きさや遠方までの距離を計算する際の便利な道具となる。角度 θ の単位は、通常度またはラジアンである。 三角比、すなわち三角関数の直角三角形を用いた定義は、直角三角形の鋭角に対して定義されるため、その定義域は θ が 0° から 90° まで(0 から π / 2 まで)の範囲に限られる。また、θ = 90° (= π / 2) の場合 sec, tan が、θ = 0°(= 0) の場合 csc, cot がそれぞれ定義されない。これは分母となる辺の比の大きさが 0 になるためゼロ除算が発生し、その除算自体が数学的に定義されないからである。一般の角度に対する三角関数を得るためには、三角関数について成り立つ何らかの定理を指針として、定義の拡張を行う必要がある。後述する単位円による定義は初等幾何学におけるそのような拡張の例である。他に同等な方法として、正弦定理や余弦定理を用いる方法などがある。
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