目視による描画
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/09 10:19 UTC 版)
山形大学の坂井正人教授(文化人類学・アンデス考古学)は現代のナスカでも地上絵が描かれていることを知り、2008年の夏に現地調査を行った。2003年に、この地方に住む2人の女性が30分ほどかけて山の斜面に30m以上の大きさがあるキリスト教の聖母像を制作していた。 絵を描く手法はこの地域で行われている畑に種をまく時の方法を応用したものであった。この地域では、種まきをする際、複数人が横1列に並び、同じ歩幅で一緒に前進する。計測用具は使用せず、目と歩幅で距離を測定する。女性たちはこれと似た方法で右と左に分かれ、歩幅をそろえて協働しながら絵を描いたと坂井に説明したという。 坂井は制作者にキツネの写真を渡し、20mほどの地上絵制作を委嘱したが、2人は写真を見ただけで歩幅を割り出し、15分程度で絵を描いてみせた。片足で地面の表面を覆っている黒く酸化した石を蹴飛ばして取り除き、その下の岩石を露出させて大地に白い線を描くという手法を用いていた。この場合、線の幅は20cmほどとなる。ナスカ期の動物の地上絵に関しても、後の調査で線の幅が20cmほどであることがわかった。 坂井教授はこの話を参考に、2009年秋、山形県天童市立天童中部小学校でこの手法を用いて絵の制作を試みた。児童及び保護者により校庭で制作が行われ、大型の地上絵を製作することができた。
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