皮(かは)つるみ
読み方:かわつるみ
- 『宇治拾遺物語』の法師の談中に「かはつるみ」の語あり。後の学者は之を手淫の事なりと解するに、『北辺随筆』の著者富士谷御杖は之を難じて、厠にてつるむの意、即ち男色の事なりと弁じあれども、「かは」を皮と見て手淫と解する方正当ならん。山岡明阿弥の『逸著聞集』に「せんかたなくてはかはづるみをしてぞ、せめて心をはらしける」とあり。又手柄岡持の狂歌(春窓秘辞に載る所)に「よべ君にへだてらるればあてがきの、皮つるみしてうさをしのびき」とあるも手淫の義とせるなり。伴蒿渓の『閑田次筆』にも「かはつるみは後の書にはきせはぎとも云へり。今千摩(せんずり)といふも其わざにつきていへり。独淫のことなり」とあり、松岡調の『陰名考』には、「手して男陰の皮を弄するわざを古へはカハツルミと云へり」とあり。
- 皮交尾。二義あり、一は手淫、他は男色の意なり。「宇治拾遺物語」の法師の談中に「かはつるみはいつばかりにて候ひしぞ」とあるを富士谷御杖は其著「北辺随筆」巻四の中に「かはとは厠といふ名をおもふに屎まる事を云ふめればそれよりうつして尻の事に形容せるなるべし、つるむとは今は禽獣などの交はるといふに同じ、この本文法師の話なれば男色の名ならしくおぼゆるなり、これを手銃のことといふ人もあれどさにはあらじ」とて男色の義とあれど多くの学者は之を手淫の義と解せり。伊勢貞丈曰く「かはつるみは今世の俗にせんずりをかくといふ事なり、我まらの皮にてつるむといふことなるべし」。「一話一言」に「かはつるみ、今の手弄なり」とあり。伴藁渓の「閑田次筆」に「かはつるみは後の書にはきせはぎともいへり、今千摩といふもそのわざにつきていへり、独淫のことなり」とあり。又松岡調の「陰名考」にも「手して男陰の皮を弄するわざを古へはかはつるみといへり」と出づ。尚、山岡明阿弥の「逸著聞集」に「せんかたなくてはかはつるみをしてぞせめて心をはらしける」とあり。「春窓秘辞」に手柄岡持の狂歌として「よべ君に隔てらるればあてがきの皮つるみしてうさをしのびき」とあり、太秦牛祭の祭文にも「鐘楼法華堂乃加波津留美」と見へたり。
- 皮つるみ、男興男の謂『宇治拾遺物語』『閑用次筆』『阿奈遠可志』等に出づ、一つに独楽の意ともなす佐野保太郎氏の『〈文学史、風俗史ノ上ヨリ観タル〉同性慾』を見よ。
隠語大辞典は、明治以降の隠語解説文献や辞典、関係記事などをオリジナルのまま収録しているため、不適切な項目が含れていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ。
- 皮つるみのページへのリンク