発現と結合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/22 13:54 UTC 版)
「ポリ(A)結合タンパク質」の記事における「発現と結合」の解説
哺乳類のPABPの発現はフィードバック機構に翻訳レベルでよって調節されている。PABPをコードするmRNAの5' UTRにはAに富む配列が存在し、そこにPABPが結合することでPABPの翻訳は自己調節によって抑制される。 細胞質型のPABPはC末端ドメインを介して翻訳開始因子eIF4G(英語版)に結合する。eIF4GはeIF4F(英語版)複合体の構成要素であり、eIF4Fには他にmRNAの5'末端の5'キャップに結合するeIF4E(英語版)が含まれている。この結合によって、真核生物のタンパク質合成に特徴的なループ構造が形成される。この相互作用はeIF4Eのキャップ構造へのアフィニティ、PABPのポリ(A)へのアフィニティの双方を強化し、mRNAの両端をタンパク質に効果的に固定する。この結合はPABPがリボソーム40Sサブユニットのリクルートを促進する能力の部分的な支えとなっており、eIF4GとeIF3(英語版)との相互作用によっても補助されている。PABPは翻訳終結因子eRF3とも相互作用することが示されている。eRF3とPABPとの相互作用は、翻訳終結したリボソームを3'末端から5'末端へリサイクルする過程を促進し、同じmRNA上での複数回の翻訳開始を促進ている可能性がある。一方、eRF3はPABPのポリ(A)上での多量体化を妨げているようであり、mRNAの分解と関係している可能性もある。
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